能町みね子×吉田豪 対談『ヘイトとフェイクニュース』を語る|第三回 「ネットでの過剰なバッシングについて」

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本サイトのキャッチフレーズは「人にやさしい」です。その「心」は反ヘイト、反フェイクです。

いつまで経ってもなくならない、ヘイト(差別発言)。本サイトはしつこく、そしてきっちりとそういった風潮に対峙していきます。しつこく対峙していきます。

前回、前々回と「ヘイト・フェィクニュース」「サロン系の人々」と語って頂きました。対談は「SNSでの過剰なバッシング」について及びました。(本サイト編集長・久田将義)

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「自分が気持ちの良い真実」を知りたいだけの人々

ーーだいたい怒るのって疲れるから怒らないほうがいいと思いますけどね。

吉田:そう言ってる久田さんもよく怒ってますよ!

能町:ネットで騒ぎが起こった時にワーッと群れて怒る人って、心の底から怒ってるわけじゃない。サンドバッグ探しをしてるんだと思うんですよね。

吉田:正しいことのために、それも自分じゃなくて誰かのために何かを攻撃するのってものすごく気持ちいいから。「俺はただ怒ってるんじゃないんだ! いいことしてるんだ!」って思えたら楽だし、快感なんだと思います。

能町:複雑なことはあんまり考えないで。

吉田:そう、「こいつは悪いヤツらしいから俺がキツく言ってやる」っていう。

能町:悪いヤツだから殴らせてもらおう、っていう。私自身も正直、悪いヤツを叩いて溜飲を下げたい、みたいな気持ちに共感できるところはありますよ。でも、大半の人は自ら叩く対象を見つけているわけではないですよね。すでにさんざん叩かれてるところに乗っかっていく人が圧倒的に多い。

吉田:容赦なく叩ける対象、発見!って。BiSHのプロデューサーの渡辺淳之介さんが、「ネット上で書かれてることって一方が見た真実でしかなくて。いろんな視点があって、正しいかどうかわからないのにみんなそこに乗っかるんだよね」って言ってて、ホントそのとおりじゃないですか。

ーーと、いうことを言ってもわかんないんでしょうね。

能町:わかんないし、そもそも事実を知りたいわけでもないと思います。

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吉田:自分が乗っかって気持ちのいい真実に乗りたいだけで、正義を疑うことをしなさすぎるというか。ボクとかは富野由悠季作品によって正義を疑う刷り込みをされてるんですよ。正義だと思ってたものが最終回で「正義じゃありませんでした」っていうどんでん返しを『海のトリトン』とか『無敵超人ザンボット3』とかいろんな作品で味わってきて、正義ってなんだろうって疑う癖がついてるんですよね。だから、無邪気に正義に乗っかれちゃうのが怖いなって思ってて。

ーー『海のトリトン』ってそうだったっけ?

吉田:手塚治虫の原作は違いますけど、アニメはそうですよ。そういう「むしろ正義の側が侵略者でした」みたいなのって、ウルトラマンシリーズの初期にもあったじゃないですか、ウルトラ警備隊が悪だったりするような。だから世の中に富野由悠季が足りないんじゃないかと最近は思ってるんですよ。ボクぐらいの世代は富野由悠季作品やプロレスで育ってきたから、「正義は必ずしも正義ではない」「ベビーフェイスの方が実は悪人」とか子供の頃から学べたんですけど、いまはそういうものが足りないのかもなって。プロレスも、いまは裏読みしないでストレートに楽しむジャンルになってますからね。

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