緊急避妊薬が“オンライン診察”で買えるようになる!? 性犯罪被害者を救う切り札となるか?
しかし、医学界の一部にはオンライン診療に懸念があるのも事実。その懸念の代表が、アフターピルが濫用される可能性だろう。
前述したように、薬剤師の目前での服用は転売目的を防ぐためだし、またアフターピル自体に(当たり前であるが)副作用もあることを考えれば、安易な利用をされることは望ましくない。
しかしながら、「現実」に目をやると、厚労省の検討会は遅きに失した感がある。ネットでちょっと検索すれば、アフターピルを処方する医療機関の広告や記事があふれるほど出てくる。もちろん、副作用などには触れているが、「手元においておく」ことを奨励するような内容もあり、緊急という意味からは「?」がつくケースも見受けられる。「医は算術」である現実を考えれば、仕方ないことではあるが……。
もっとも、このような事態が起こる根本には、性教育を含め日本が性、特に女性に関しては「知らぬが美徳」的な因習をいまだもっていることも影響している。アフターピルの濫用を憂う前に、若年層へ低用量ピルの知識を与えることも肝要だろう。
とまれ、性被害者のケアが遅れている日本で、オンライン活用が出来ることは、大きな一歩と言える。同時に、性教育の在り方を今一度考える機会でもある。(取材・文◎鈴木光司)