かつて隆盛を誇った西川口 全国に名を轟かせた「NK流」を警察が本気で潰した あれから十数年……街は一度も栄えず、死んだ

二度と立ち直れない――

一部のマスコミでは、バラエティに富んだ中国料理店が出来たこともあり、エスニックタウン、新中華街などと取り上げるムキもある。確かにそうした側面はあり、日本人に馴染の広東料理や北京料理だけではなく、東北(地方)料理、福建料理など珍しいグルメもあって興味はひく。

風俗店あとに入店する中国料理のお店(筆者撮影)
読めない…(筆者撮影)

だが、残念ながら「中華街」「グルメタウン」と呼ぶには西川口自体のパイが小さく、街を活性化させるほどのブームを起こすのはなかなか難しい。つけ加えていえば、身近な東京である池袋がすでに中華タウン化して久しい。中華グルメならまずそちらに足を運ぶだろう。そこらあたりを街の人々に聞いてみたが、「グルメの街と言われるほどは人が来ていない。ほとんどが中国人の客」というのが現実なのだ。

またパイの大きさで言えば、いくら中国系の店が多くなっても店舗数には限りがあり、かつて風俗ビルだったテナントなどは、10年以上たったいまでも空き室のままのところもある。

「正直いって、昔に比べれば人はまったくいなくなった。タクシーも深夜になれば西川口にあまり寄りつかない。せいぜい、仕事が終わった立ちんぼや客引きなどショートの客がほとんどだからだ。街も全体的に暗くなって地元の人間以外は怖がる人もいる」、そう語るのは古くから地元で店舗を構える商店主だ。

結論を言えば、警察が威信をかけて風俗街を抹殺した結果、10年以上たっても街は再生せず、かつての活況は取り戻せていない。そして新たにあらわれたのは日本ならざる異国情緒だった……ということ。これが是なのか否なのか、お上はどう評価するのだろうか。(取材・文◎鈴木光司)

 

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