東京都内・外出自粛の夜 歌舞伎町・ゴールデン街は静まり返っていた 外国人がいなくなって図らずも露呈した新宿飲み屋街の現実
別のバーの店主はこぼす。
「トラブルを起こす外国人観光客はいたらいたで困るけど、これだけ閑散とされてもねぇ、あまりに極端すぎて……」
客の外国人率が圧倒的に高いノーチャージのショットバーは深刻だ。
「カウンター7席だけの店に、1日50人ぐらいお客さんが来たこともあったけど、ここ数日は1日5人とか10人とか。うちはドリンクの値段を安くしてるから、これじゃやっていけないね」
そんな中にも奇跡的に外国人客の姿もあった。ロンドンから来たというカップルは明日には帰国する。「日本旅行から帰って入国できるの?」と聞くと「大丈夫。なんとかなる」と笑っていたが本当に大丈夫なのか。
そのあとドッと押し寄せた外国人グループは「京都で仕事してるんですよ」と流暢な日本語で言った。つまり観光客ではなく、すぐに帰国もしない。大声でカンパーイと盛り上がったあと握手を求められた。歳も若いからなのか、危機感はないようだ。
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「もともとウチは外国人のお客さんが少ないのであまり影響はありません」
というのは建物の2階にあるバーのママ。通りに面していない階上店や飛び込みの客を入れない会員制の店はもともと外国人客が少ない。日本人の常連がいるから観光客に頼る必要がないのだ。しかし週末は終電時刻が過ぎても盛り上がる店が、この夜は早々と客の姿がなくなった。
ゴールデン街の店の多くは狭くて換気が良くなく、満席になると客が密集、しかも酔ってワイワイ語り合う。小池百合子都知事が会見でアピールした密閉・密集・密接の「3密」をそのまま具体化したような場所だ。
「だからといって都とか区から営業自粛を、と言われたことはない」
と店主たちは口をそろえる。「外出自粛」が叫ばれても、店を休業するかどうかは決めかねている。