教育の無償化を目指す カリスマ予備校講師 元暴走族・吉野敬介先生がYouTubeで授業開始 「シウマイ弁当みたいな授業をします」
「できないやつ」の気持ち
――私も横浜育ちなんですけど中学受験で四谷大塚とか通ってたんで、(学費出してくれた親に)恩返しっていうのはわかります。先生はプロフィールによると不良少年だったそうですが。
そうですね、中学高校はめちゃくちゃ。何とか高校だけはギリギリで卒業できたわけです。やっと高校卒業できて、高校卒業後は当時つき合ってた彼女と同棲していまして、当時はバブル時代だけど就職試験は全部落ちました(苦笑)。出席日数も足りなかったし。で、高校時代からアルバイトしていた暴走族専門の族車を売る中古車屋に就職しまして。で、彼女にフラれてしまったんだけど、彼女の新しい相手が大学生だったんですよ。「じゃあ、俺も大学行ってやる」と、4ヶ月間自分なりに勉強して大学に入ったわけです。大学時代は勉強しましたよ。だって大学生と話が合わないんですよ、自分は不良だったんで、大学で悪ぶってるヤツが「昨日徹マンしちゃってさー」みたいな事言われると余計に(笑)。
――感覚が合わない、と。
感覚が違いましたね。1年半働いてから大学行ってるんで計算的には二浪ってことになるんですけど、自分としては二浪っていう感覚がないから。現役で入った同じクラスのヤツに「吉野!」とか言われるじゃないですか、そんなのダメなんですよ。暴走族の世界だったらヤバいですよ! 高3のときに高1のヤツに呼び捨てにされているようなもんだから(苦笑)。あるきっかけで、少し僕が同じ大学生とは違うなと分かってきたみたいです(註・「きっかけ」はオフレコという事です)。
――周りの目が変わってきた?
「吉野くん」とか「吉野さん」とか言われるようになりましたね。自分としてはそんなのどうでもいいんだけど、大学時代は勉強して、代ゼミで「チューター」とか「フェロー」っていってわからないところを見てあげるっていうのがあって。僕は国語のフェローの試験に受かって、生徒が授業でわからなかったところとか入試問題とか……だからあのときが古文一番できたんだよな。学問的なことは今の方ができるけど、入試問題を解くということは、もしかしたらあのときのほうができたかもね(笑)。それで予備校講師になりたいなっていうのがありました。
――落ちこぼれている子を更生させる、みたいなところもあるんですかね。
いや、それはないです。それは義家弘介(自民党衆議院議員。「ヤンキー先生」として知られている)とかの役目じゃないですか? そういえば、義家、この頃会ってないですが、活躍してますね! うれしいです。
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――そういうことですよね。
予備校講師って、デキない人をデキるようにさせる人ってそんなにいないんです。講師たちは元々が頭が良くてデキるんですから。東大とか早稲田とか慶應に行って大学院に行ったり弁護士崩れとか、そういうのが予備校講師になっているから根本的には本当にデキない人の気持ちなんてわからないんですよ。
僕は、本当にデキなかったからデキない人の気持ちがわかるんです。それもあって30年間ずっと古文で、一番取ってるわけですよ。毎年いろんな先生が挑戦してくるんですけど、僕がほかの古文の先生に言ってるのは、「お前らは基本的に溺れてるヤツに泳ぎ方を教えてるんだよ、意味ないだろ。溺れているんだから、浮き輪を投げてあげるとか、まず助けるところから入らないといけない」と。
あとは学歴もまあまあ良い、教え方もそれなりに良い、それなりに面白い話もできる。……それって幕の内弁当みたいなんですよ。何となく見た目はそこそこカッコ良かったり、頭も良い、学歴も良い、教え方もそこそこ良い、話も学校の先生よりはまあ面白い、ちょっとした感動的な話もできる、だけどなんか突き抜けてないというか。
僕は鎌倉出身ってこともあり「崎陽軒のシウマイ弁当」でいたいですね。シウマイも美味いんだけど、タケノコも唐揚げも美味いじゃん、みたいな。唐揚げを楽しみにしてるヤツもいるし、タケノコを楽しみにしてるヤツもいると思うし、やっぱりシウマイは楽しみで飯も美味い。
あと僕が仲良くさせてもらってる「ラーメン二郎」っていうラーメン屋さんがあって。「ラーメン二郎」のラーメンって嫌いなヤツを好きにさせようっていうラーメンじゃないんですよ。