止まらない新宿バッシングに疑問符 劇場クラスターは誰のせい? 本質を見誤れば一層のカオスを招く
新宿批判で言えば、区が独自に行ったコロナ感染者への10万円の見舞金支給についても否定的な意見が多いようだ。しかしこれも、吉住健一区長が歌舞伎町の(風俗業界の)特殊性を鑑みて、発生を隠蔽させるよりはあぶりだしたほうがよい、という判断に基づいている。実際、区長自身もワイドショーでその趣旨を述べた。
筆者も30年以上歌舞伎町を取材しているが、この街の「事情」を考えれば吉住区長の判断はベストとは言い切れないまでも、ベターの政策と言えるのだろう(別に区長の支持者でもなんでもない。為念)。世間がそれでも納得がいかないというなら、歌舞伎町自体(新宿自体)を封鎖するしかないだろう。もちろん、この場合は池袋や渋谷、六本木、あるいは他の大都市の歓楽街も同様な措置が必要だ。そんなことが現実にできるハズがないではないか。
いずれにしても責任の所在を個々に当てはめて糾弾することは、時に本質を見誤ることにもつながる。この場合は、東京が悪い→特に新宿が悪い→なかでも〇〇(ホストや小劇場)という論法だ。結果的に、より大きな責任があるハズの政府の政策を“擁護”することともなり、コロナ禍を一層カオスにしかねないであろう。(文◎堂本清太)
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