灼熱のマンホールでザリガニを焼き猛暑を過ごす 東京・足立区で夏を満喫する子どもたち 「ここは発展途上国か!?」環七開通前夜

足立区は自然も豊富なら町工場もいたるところにあり、クソ暑いこの時期でも日がなガチャンゴチョンと機械の音が常にBGM。子ども心に大きくなったら、こういう工場で働くのだけは嫌だと思っていた。

夜はテレビのある家でよく海外ドラマ「ララミー牧場」「ミステリーゾーン」「コンバット」「チビッコギャング」そして「プロレス中継」を他人の家族と大喜びで見た。大人も一緒だったので、足立区の大人の知能程度も窺い知れる。

テレビで震えたのは「恐怖のミイラ男」これは怖くて、これを見た後、自分の家に帰るのがマジ怖かった。これはフリーライターの本橋信宏氏も同じ体験を話していた。彼も自分と同じ1956年生まれ。

こうして楽しい夏は終わる。宿題した記憶は全くない。宿題出てのかな足立区は?

 

思い返すと、今年のコロナ禍に似た夏があった。確か昭和37~38年頃の話だと記憶しているが、夏のある時期ほとんど外に出れなかったのだ。アオバアリガタハネカクシという羽虫に刺されると瞬時に死んでしまう、という噂が出回り、恐れおののていたからだ。それらしき羽虫が家の蚊帳に入ろうものなら大パニックになった。

この恐怖の都市伝説は後に泉麻人氏がコラムで書いていた。「B級ニュース図鑑」だったかな。泉麻人氏も1956年うまれ。彼は中野育ちらしいから、大都会中野でも自分と同じような体験をしたと思うと、これは東京中の都市伝説だったのだろう。

ちなみに、この羽虫全く害も何もなかったとは後年明かされた。ネットがないこの時代ならではだけど、何かほのぼのすると思うのは自分だけだろうか。

 

夏は楽しく面白く、毎日が好奇心に満ちていた記憶しかない。そういう意味ではこのクソ暑い時期にマスクをする子どもを見ると、辛いもの感じてしまう。(文◎比嘉健二 元雑誌『GON!』『ティーンズロード』等編集長)

 

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