『ハロプロ・チーム対抗歌合戦』 アイドルがセルフ・プロデュースするとクレイジーなものが産まれた!
セルフプロデュースということなので、もちろん自分ストロングポイントをアピールできます。たとえば、アンジュルム・竹内朱莉とつばきファクトリー・岸本ゆめのによるユニット「今日、微炭酸」は℃-uteの『悲しきヘブン』を披露しました。この曲は、℃-uteの鈴木愛理と岡井千聖が2人で全編にわたってハモりまくる楽曲。要は、この曲を完璧に歌い上げることで、竹内と岸本は「私たちは事務所に求められているもの以上のことができるんだぞ!」とアピールできるわけです。そして、2人は完璧にこの曲を歌い上げ、観ているファンも「この2人のポテンシャルはとんでもないぞ!」と広がる未来を期待し、おそらく事務所の人々も同様に感じたことでしょう。2人のアピールは間違いなく大成功です。
Juice=Juice・金澤朋子、カントリー・ガールズ・山木梨沙、アンジュルム・笠原桃奈の「セクシー・オトナヤン」はモーニング娘。’16の『セクシーキャットの演説』を披露。曲中にジャケットを脱いだり、猫耳をつけたり、まさにセクシーな演出が盛りだくさんで、3人の個性は存分に発揮された素晴らしい演目でした。
このユニットの中心人物である金澤は、Juice=Juiceでもセクシーな歌声を武器としているものの、照れもあるのか、自らセクシーさをアピールすることはそこまでありません。でも、今回は明らかに”セクシー”のスイッチを入れて、より魅力的な姿を見せてきたのです。これはもう誰かの指示で出てくるものではなく、自分の意志でしか出てこないもの。多くのファンが求めていた”かなとものセクシー”を引き出すのは、事務所のプロデュースではなく、かなとも自身だった……ということでしょう。このように、どんどんメンバーたちが自分の力で覚醒していくのが『チーム対抗歌合戦』なのです。
一方、ハロプロリーダーのアンジュルム・和田彩花はツインテールにまっピンクのワンピースを着て、最年少の雨ノ森 川海・岡村美波と「あやちょ♡みぃみ」としてWの『ロボキッス』を披露しました。普段はクールビューティーな和田が10歳年下の新人メンバーとかわいらしいアイドルソングをやるというのも相当な気合いの入りよう。それこそ事務所の人間も24歳のハロプロリーダーに「ツインテールにして14歳と2人で歌え」なんてオーダーするのも躊躇するはずですが、これがセルフプロデュースだと成立するというのもすごい。”アイドルは大人にやらされているもの”なんてことを言われますが、いやいやむしろその逆。大人はアイドルたちを制御している側で、アイドルにプロデュースをさせると、かなりエクストリームなものが飛び出てくるという事実が明らかになってしまいました。
また、メンバーによる選曲もまた容赦ない。このイベントは”勝負事”なので、各チームが勝ちを狙って、盛り上がる曲をどんどんセレクトしていきます。しかも、来場者の投票ということもあるので、客ウケをしっかり意識している。つまり、頻繁にライブでやるような定番曲というより、ファンが日頃からライブで聞きたいと思っているであろう盛り上がり曲を見事にチョイスしてくるのです。普段のライブにはない「勝負」という要素が乗っかることで、いつも以上のエキサイティングなセットリストになったといえるでしょう。