「相撲の語源はヘブライ語」発言で見えてくる元貴乃花親方の危険性 日本書紀に書かれている史実とは
相撲の起源は組み合う戦いではなかった!?
改めて、現在のところ定説となっている相撲の起源をご紹介しておきます。
垂仁天皇が「天下無双の同士の対決が見たい」とご所望になり、野見宿禰と当麻蹴速による取組が行われました。これが最古の相撲だと「日本書紀」に記されており、相撲協会のwebサイトでも紹介されています。
絵巻物でも両者が組み合う姿が描かれていますし、誰もが組み合っての戦いをイメージするかと思います。
しかし実際は、イメージとは全く違う戦いだったのです。
なんと、取組開始とともにお互いにキックの応酬となり、最終的には野見宿禰が相手の助骨と腰骨をキックで粉砕して殺してしまったというふうに書かれているのです。
こうなると、前述したヘブライ語に関しても怪しい部分が出てきます。旧約聖書におけるシュモーは組み合う戦いであるのに対し、日本最初の相撲はキックボクシングのような蹴り合いであったこと。またヘブライ語でハッケヨイは「投げうて」という意味を持ち、私たちが現在見ている相撲に当てはめれば繋がっているように感じますが、少なくとも野見宿禰と当麻蹴速の戦いでは、投げうつことがありません。
ここまでお読みいただいて「結局答えはなんなんだ?」と感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、今のところは「諸説あり」という他ないのが事実です。
今回の元貴乃花親方の発言から見えてきたのは、相撲の起源ではなく、諸説に目を向けず、断定的に言説を展開するところに「信じやすい」という、元貴乃花親方の危険なオカルト体質だけだったということになってしまうのです。(文◎Mr.tsubaking)