山口達也はもう元には戻れないかもしれない 全てをぶち壊す「アルコール依存症」の恐怖 “覚えていない”から反省もできないループ
「月に1〜2度、酩酊し警察に保護される」「飲み屋で喧嘩して小さなトラブル起こす」「酔って怪我をして病院に運びこまれる」「家で暴言を吐き、暴力を振るう」。
最終的には飲酒運転で人身事故を起こし、実刑判決。最初の事件からこの状況に至るまで1〜2年。非常に短期間で状況が悪化していきました。3歳だった娘は、10年経った今でも当時を記憶しており「お父さんさ…暴れていたよね。私、お酒飲む人、ほんと嫌い」と言うほどに幼い心を深く傷つけてしまいました。「酒を飲むやつにロクな男はいないから、結婚しない」とも。山口メンバーの離婚も酒が一因と言われていますが、子を守る母の立場として、離婚の選択は当然のことであったと思います。
大事件を起こすに至るまで「お酒でトラブルあったのに、なんで止められないの?」と思う人がほとんどでしょう。始めは私もそう思っていました。アルコール乱用者の特徴ともいえますが、事の大変さを本人は認識しており、酒からの脱出を試みようとしますが、全く記憶がないため自分のしたことを正しく振り返ることができないのです。
目覚めたら警察で、謝罪して、起訴されて。
彼からすれば夢の中の出来事。周りから状況を聞かされても理解ができなかったのだと思います。元夫も山口メンバーと同じように「自分が甘い。もう酒は飲まない」と言いましたが、甘さを招く気持ちの推移や、甘さから出た行動を記憶していないため、どこをどう反省すべきか整理がつかないのです。アルコール依存症であれば強制入院も可能ですが、常時飲酒状態でなく、仕事もこなせる乱用者は日常生活を優先しがちで治療が遅れがちです。
「お酒さえ止めれば普通になるのでは」
元夫も一時期治療に通いましたが、酒を断つ以前に「ストレスの耐性を上げる」ことが大切だと医師から言われました。「イライラしたり、不安になって酒を飲むのならば、イライラしない&不安にならないマインドを作るしかない」と。
さらに「アルコール乱用者は、酒が強いと思われがちだが、本来は弱い。だから記憶をなくす。体が頑丈だから体調不良を起こすのが遅くなっているだけ。肝臓が悪くなったら、アウトだと思ってほしい。肝硬変から肝癌になる人も多い。記憶をなくす回数と時間が長くなれば、いずれは認知症の症状を発症する。どの道を選ぶかは本人次第だ」とも。多くの患者に接してきた医師は、この時点で手遅れであること、例え回復できたとしても、その道は相当厳しいものになることを私に説いてくれていたのだと思います。
元夫とは、飲酒での人身事故で会社を解雇になった後、冷却期間を置いて離婚をしました。「お酒さえ止めれば普通になるのでは」と何年も戦い続けましたが、医師の言葉通り、本人がストレス耐性を上げる訓練を行い、酒と取り巻く状況と向き合わなければ、周囲がどんなに手を尽くしても快方しません。周りが手を差し伸べるほど、本人は犯した罪に苦しめられ、また酒に逃げるようになります。
現在、彼は行方不明。実家とも連絡を絶っているそうです。正直なところ、離婚から6年経った今でも、「またトラブルを起こしてこちらに火の粉が振りかかるのでは」と心配もあります。いっそのこと「死んでくれていたら」とさえ思います。アルコール乱用者の家族は何年経っても、当時のトラウマに苦しめられ、常に不安を心に持ち続けるのです。
TOKIOの会見で国分さんが「山口くんを放ってはおけない」という心情を吐露していましたが、当時の私を見ているようで非常に苦しかったです。酒に逃げない心を持つことは本当に大変です。心が強い人は一度目のトラブルで目を覚まし、自分を律します。
山口メンバーのコメントに「何度も何度も繰り返してしまう」とありましたが、そこが問題です。「酒への逃げ癖」が麻薬のように体を蝕んでいて、この状態から脱出するには何年かかるだろう……と。もしかしたら、もう元には戻れないかもしれません。世捨て人となった私の元夫Aのようにならないことを祈るばかりです。(文◎東山みなみ)
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