山口達也はもう元には戻れないかもしれない 全てをぶち壊す「アルコール依存症」の恐怖 “覚えていない”から反省もできないループ
医師に「依存症」だと診断されるまでのハードル
私が体験したアルコール地獄の5年間を、経験をもとにお話したいと思います。
まず、「なぜアルコール依存症の診断がつかないのだ」と疑問を呈する人もいますが、依存症の診断が出るまでには時間を要します。「常時飲酒状態」「飲酒で仕事がままならない」「人間関係が崩壊している」など、診断のハードルは高く、当時の山口メンバーに診断がつかなかったのも頷けます。
おそらく、2018年当時の山口メンバーの状態は依存症手前、「アルコール乱用」であると推測できます。「乱用」とは、普段は仕事もこなし、酒との関係も深くなく見えます。しかし、一旦飲み出すと止まらず、自制が効かなくなります。酒席でのトラブルも増え、二日酔いなどで仕事に支障をきたすこともあります。この乱用状態が一番タチ悪く、家族や関係者を巻き込む破滅への入口です。元夫もそうでした。
彼は、非常に人望があり、後輩たちの兄貴分的存在。会社では常に営業成績上位でした。食事に行くと気前良く奢ってくれ、いつも楽しい時間を提供してくれる人でした。ただ、深く酔うと記憶をなくすことが多く「目が離せない」と私が感じていたのも確かです。人気者であるがゆえ、お酒で少し失敗をしても周りが「まあまあ、たまにはあるよね」と甘い目で許してしまうのです。ここは、山口メンバーも同じではないでしょうか。
しかし、この状態が数年続き、酒席でのトラブルが増加。ここからが先述の「アルコール乱用」の状態に突入です。仲間と飲んでいたのが、そのうち一人飲みになり、酩酊状態で帰宅することが増えてきたのです。また、自分勝手な言動も増え、私が出産間近でお腹の張りが強く「帰ってきてほしい」と連絡しても「出産って大変? 自分で病院行っておいて」と電話を切られることもしばしば。そして、1回目の事件が起きます。飲酒運転での検挙です。単独事故であったため交通違反と罰金のみで処理されましたが、子どもが産まれた翌日のことでした。
酔った上でのトラブルを一切覚えていない
普通の人間ならば、ここで断酒をするか、心を入れ替えるものです。元夫はここが立ち直れるかどうかの境目でした。アルコール乱用状態であっても、普段はまともな精神を持っているため、自分で起こした事件を受けて止めることができます。
しかし、その重大さにはたと気付き、押し潰されそうな気持ちを酒によって解放しようとします。徐々に酒量が増え、家で怒られる→反省する→落ち込んで酒に逃げる→朝帰り&酩酊のループを繰り返すようになります。
そうこうしていると、次のトラブルが発生します。飲み屋での傷害事件です。「帰ってこないな」と思っていたら、警察から電話。「ご主人を傷害容疑で逮捕しました」。お店の女性と口論になり、暴力をふるい怪我をさせてしまいました。数日後、面会に行きましたが本人は何も覚えていません。「嘘でしょ?」と思うくらいに、その夜のことを何も覚えていないのです。元夫は初犯であることから略式起訴され起訴猶予処分の判断が下されました。
ここからの転落が速かった……。