格闘の申し子・平本蓮 RIZIN大晦日大会でMMAデビュー 「俺は独りじゃない。皆も独りじゃない。ファンの皆と一緒に勝ちにいく」(インタビュー後編)

――●●とかですか?(と、格闘家の間で流行の有名ブランドの名前を出したところ)

「(即答)●●とかなんでこんなにピチッと着てんだよ、モードブランドだよ、みたいな(笑)。●●のジャージとかピチッと着てるヤツを見て、キショッと思いますね。格闘技界はセンスあるヤツがいねえなって。そういうファッションセンスとか格闘センス、恋愛のセンスもそうなんですけど、最近よくジムの先輩と話すんですよ。普通の恋愛して、普通の服着るヤツは普通に弱いっていう考えなんですよ。やっぱりファッションセンスも恋愛もイカれてるヤツが強いんじゃないかっていう」

――面白いですね、その理論は。

「だから、まともな恋愛をできる人は実は普通っていうか。要は『変態が最強』なわけじゃないですか。つまり、変態っていう意味は、何でも突き詰めるわけじゃないですか、こだわりがあるから。僕はこだわりがすごく強いし、食べものひとつ取っても、この店のこのメニューしか食べないとか細かいんですよ。でも日々、俺は絶対これだっていうこだわりのものを最近は特に意識して作るようにしています」

―ー料理も得意ですよね。

「最近は減量中なので作るのが面倒くさくて買ってきちゃうんですけど、すべてにおいてこだわりを持っていたいんですよね。このインタビューも仕事だし、家にいるとき以外は仕事中だと思ってるんですよ。ジムに行くときの服装がダサかったら、俺だったらそいつのファンにならないですもんね。そういうプライベートの状況のときに、『うわ、あいつカッケー』みたいなのが大事ですよね。僕は服も意識するんで、やっぱり人って、ファッションセンスがダサい格闘家のファンにはならないですよ」

――因みに、誰がダサいんですか?

「全員ですよ!(笑)」

――では、カッコいい人はいます?

「K-1ファイターは何人かいます。あと、RIZINだと佐々木憂流迦さんはオシャレだなと思います。あの人はマジでカッコいいです」

――佐々木憂流迦選手のセンスの良さは分かりますねぇ。

「最近で衝撃を受けた格闘家でいうと、秋山成勳さんがカッコいいなと思ったんですよ。あの時代、プライドを持ってやっていた五味(隆典。元PRIDEライト級王者。PRIDEデビューから10連勝)さんとかマッハ(桜井マッハ速人)さんとかって計算してないと思うんですよ。

今の格闘家って計算するヤツばっかりで、PRIDE、K-1時代に憧れて格闘技を始めたヤツが多いから、レベルはもちろん上がってるんですけど、なんか部活のヤツらが上がってきちゃったみたいなのが残っちゃったんですよ。そんなヤツが盛り上げようとしてるからちょっとダサいし、振り切ってるヤツがいないんですよ。100でいけば失敗したときにリスクがデカいから、50しか賭けない。格闘技って普通の仕事じゃないのに何を常識求めてるんだよっていう。そこに常識とか礼儀とか求めてないんですよ、俺は」

――観ている人も、自分たちの日常とは違う、少しアウトサイダーな人たちがやってるものを観たいからお金払うんじゃないですかね。

総合格闘技に挑戦するのは暗闇の荒野を歩いていくようなもの

「『ああ平本ね、普通かな』っていうのは作りたくないんですよ。めっちゃ好きかめっちゃ嫌いかで語られる選手でいたいんで。だから、このままスタイルを変えるつもりはないし。1試合ごとに人生を歩んでいます。

『ジョジョの奇妙な冒険』がすごく好きで、戦うモチベーションもそういうところからもらったりして、アニメとか日本の文化がすごく好きで、だからけっこう中2病なんですよね(笑)。『覚悟とは犠牲の心ではなくて暗闇の荒野に進むべき道を切り開いていくことが覚悟なんだ』って主人公のジョルノが言っているんです。

僕が総合格闘技に挑戦するって意味はそういう、暗闇の荒野を歩くようなものなんですよ。甲本ヒロトも『お先真っ暗って良い言葉なんだよ。真っ暗で何も見えないからいいんだよ。暗闇のなかに何かあるんじゃないか』って言っていて。それって、自分だけが頼れる世界の事なんですよ。だからこそ自分の仲間も信じて、だからファンも信じてるんですよ。ファンにも応援してくださいって感じじゃないんですよね。一緒に戦おう、俺たちでやってやろうぜ。そんな感じです」

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