格闘の申し子・平本蓮 RIZIN大晦日大会でMMAデビュー 「俺は独りじゃない。皆も独りじゃない。ファンの皆と一緒に勝ちにいく」(インタビュー後編)


(この記事は『新生Kー1の申し子から格闘技の申し子へ 若き孤高の格闘家・平本蓮 RIZIN26大晦日に出陣 (インタビュー前編)』の続きです)

2020年の格闘技界を飾るにふさわしい試合が目白推しのRIZIN26。メインのRIZINバンタム級チャンピオン朝倉海選手と日本総合格闘技の至宝・堀口恭司選手との一戦。そしてカリスマ朝倉未来選手が敗戦直後の試合でどのようなカムバック見せるのか、などがネット上を賑やかしていますが、「メインよりも注目」と言われているのが、新生K-1から移籍しMMAデビュー戦の平本蓮選手と彗星のごとくRIZINに現れた萩原京平選手との一戦です。前半に続き、後半をどうぞ。

カート・コバーンとか独りぼっちじゃないですか。その美学が大好きなんですよね。自分もそうありたい

――「人間・平本蓮」の原点みたいなのを聞いていきたいのですが、平本選手は足立区出身ですよね。僕は世田谷生れで、その23区民から見ても、足立区って少し特別で面白い地域じゃないですか。友人も元上司も足立区生まれなのですけど荒川を渡ると「別の国」っていう感じがするんですけど、どんな街でした?

「僕は団地で育ったんですけど、裏の接骨院によく武田幸三(元キックボクサー)さんが来てたんですよ。団地のベランダから見てポルシェが停まってると、『あ、武田幸三がいる!』みたいな(笑)団地内の接骨院に武田幸三がいると異様な空気なんですよ。

で、最初に入った(那須川)天心と同門だったのが不良だらけのジムだったんです。でも俺は不良になりたいとも思わなかったし、周りにそういう人は多いけど、そのときから孤高の存在でいたいと思っていましたね。例えば友達とキャバクラ行くのも楽しいんですけど、遊んでても『俺はここじゃねえ感』がすごいんですよ。生きててここじゃないっていうのを感じてて。でもそれを感じさせないのがリングというかケージなのかな」

――タトゥーは背中にも入れたんですか?

「はい、ホントは最初に背中に入れたかったんですけど、まず腕からにしようかなと思って、背中にずっと入れたくて」

――テレビ放送とかは考えなかったのですか?

「UFCに行きたいんで、目標がそこだからテレビは意識したことないかもしれないです。RIZINではマジでスターになってやるっていうか、俺が作るっていうか。その条件に刺青とテレビはあんまり関係ないですね」

――確かにUFCでは、タトゥーは関係ないですね。

「ホント、UFCに行ってチャンピオンになりたいです」

――違うジャンルの競技者で尊敬する人はいらっしゃるんですか?

「トラヴィス・スコットっていうラッパーがすごい好きですね。その人のファンへのメッセージとかすごいカッコよくて。『おまえならできる』っていうメッセージで奮い立たされるというか、ロックスターというか。あとは甲本ヒロト(註・言わずと知れたex.ブルーハーツ、現クロマニヨンズのボーカル。平本選手の入場曲に「リンダリンダ」「TRAIN-TRAIN」が使われる)がすごく好きで、あとはニルヴァーナのカート・コバーンとか」

――80年代のアーティストたちが多いんですかね。

「どこか悲壮感のあるアーティストとか、孤高なんですよ。カート・コバーンもなんかひとりぼっちじゃないですか。ひとりぼっちの美学というか、大好きなんですよね。自分もそうありたい」

――『リンダリンダ』とか『TRAIN-TRAIN』とかカッコいいですよね。僕はプロ選手というのは、入場曲がかかる。選手が入場する。試合をする。試合後マイクをする。そして控室に戻る。ここまで全部客を魅了させて、プロだと思うんですけど、そのあたりはどう考えていますか?

「もちろんそうです。だから今年の大晦日は会見から入場から試合、会場から去るところまで俺が一番カッコよくいたいです」

――全部魅せる、と。

「そうです」

格闘家って服装がダサいヤツばっかりじゃないですか。そんな人のファンになります?

――というか、そうでないとアマチュアになってしまうじゃないですか。

「っていうか、まず日本の格闘家は服装からダサいヤツが多くて。流行ってるからとりあえずそのブランド買うみたいなのばっかりじゃないですか」