新生Kー1の申し子から格闘技の申し子へ 若き孤高の格闘家・平本蓮 RIZIN26大晦日に出陣 (インタビュー前編)

今、RIZINフェザー級戦線が熱い―ー。

大晦日に開催されるRIZIN26。そこに新たな格闘家が挑みます。平本蓮。22歳。「新生K-1の申し子」と言われ、高校生でキック界デビュー。その後の活躍は目を見張るばかりでした。天才とも称された立ち技の強者。その、歯に衣を着せぬ発言は、格闘技ファンの間で物議を醸し出しました。

RIZINデビューの相手は新星・萩原京平選手。記者会見で萩原選手が

「平本君はMMAデビューなのでマウントを取って肘でぼこぼこにします」

とコメント。それに対し平本選手は

「ふざけんな。お前がボコボコにされるだけの試合だからな。勘違いすんなよ」

とアンサー。RIZINでは珍しくトラッシュトークが繰り広げられました。

RIZIN26大晦日大会は日本総合格闘界軽量級の頂点を決める、RIZINバンタム級王者朝倉海選手と日本総合格闘界の救世主・堀口恭司選手との決戦がメインであり、海選手の実兄でカリスマ的人気を誇る朝倉未来選手の出場も話題を呼んでいます。

が、「平本蓮vs萩原京平戦」が「裏メイン」の声も高く、ファンの間では「どちらが勝つのか」と話題沸騰。試合を2週間前に控えた、その平本蓮選手は、何を語るのか―ー。ファンもアンチも必読です(文◎久田将義 <インタビュー前編> )

俺の打撃が総合では通用しないと言っているバカどもにナメんじゃねえって所を見せます

――試合まで約2週間になりましたけど、減量とか体調はいかがですか?

「過去最高っすね(即答)」。

――過去最高!! それはガチで楽しみです。

「調子が悪かったとか、やりづらかったっていう言い訳が自分の中できかないくらい良い感じなんで。だから、絶対勝つんですよ」

――いま練習はグラップリングのほうに重きを置いてますよね。

「そうですね。打撃もやりますけど、僕レベルまでいくと打撃の練習って微調整をたくさん続けていく感じなんで、大きく進化するということはないんですけど、その微調整がホント大事なんです。微調整で完璧に仕上がっていく。まあ、やったことない人って僕のことナメていると思うんですけど」

――ん? 平本選手をナメている人っているんですか?

「『俺の(平本選手の)打撃なんて総合では効かないだろ』って言ってるバカがいるんですけど、そういうヤツをぶっ倒してしていきたいなっていうのもあるんですけど」

――例えば、新生K-1時代のゲーオ・ウィラサクレック戦を観たら打撃が弱いって言う人とか、いないと思いますけどね。

「勘違いバカが多いんですよ。どこの界隈にもいるんですよ、ボクシングバカと総合バカとキックバカがいて、自分たちの競技が一番強いと思ってるヤツがいるんです。だから『おまえ自身の問題だろ。おまえが総合を代表してんじゃねえよ』っていう事です。選手もそうだし、昔から総合格闘技界に関わっている重鎮というか大御所みたいなのいるじゃないですか。ナメんじゃねえよっていうのは見せます」

――うーん。ゴンナパー戦もボッコボコに打ち合って勝ってるんで、あれを観たらナメた言葉は出てこないと思うんですけどね。

「そこはあんまり意識してないですけど、決して相手をナメたり自分のほうがすごいとか思わないんですよ。どんな状況でも1秒でも早く倒すことを心がけています。今度、オープンフィンガーでやったときに、マジの殴り合いができるヤツ(平本選手)が来たらビックリするんじゃないかなと思うんですよね。楽しみですね。今の自分に自信があるんで、そういうときって絶対失敗しないんで」

――総合と立ち技は全然違いますけど、ゴンナパーとかゲーオとか、越えられない壁を越えたことは確かじゃないですか?

「あれも越えたというよりは、自分の能力を信じ切った結果なので。試合のたびに覚悟を絶対持っていて、その戦う覚悟がK-1時代よりも増したんですよ。もともと気持ちは強いほうなんですけど、最近ホントに自信に満ちあふれているというか。ちょっと大人になったのかもしれないですね(笑)」

――心技体すべて。

「そうですね。心技体ホント充実しています。昔から自分の武器は強い気持ちだったんで、それが、より固まったというか。だから怖いものがないんですよね。それは、よく言う『怖いもの知らず』じゃなくて、『自分と向き合って戦う覚悟ができた』からです」

――ご自身のYouTubeで「人間力が大事」とおっしゃてましたけど、それに通じるものがあるわけですか。

「総合を始めてから一人で考える時間が増えて、考えて考えて突き詰めていったときに、やっぱり孤高でありたいなと思ったんですよ」

RIZINよりPRIDEやK-1のほうが盛り上がっていたと思うんですけどそれは俺たち選手が悪いんですよ

――ツルまない、みたいな感じですか。

「いや、そういう中2病くさい言葉じゃなくて、孤高でありたいっていう。みんなで群れるのは嫌だとか、そういうマジでしょうもない発想じゃなくて、突き抜けていたいっていうのがあるんですよ。今の日本の格闘技界と比べて、正直、昔のPRIDEやK-1のほうが盛り上がってたと思うんですけど、それは答えがシンプルなんですよ。

俺たち選手が悪いんですよ。どの時代でも格闘技の運営とか金出す人はどの時代でもたくさんいると思うんですよ。せっかくのその機会を無駄にしてきたのが俺たちというか。いつまでも与えられる側でいるんじゃねえよって思ったんですよ。奪いに行くんだよ、作りに行くんだよっていう感覚になって、ホントに覚悟が決まったんですよね」

――それはいつ頃ですか?

「K-1の契約もあって格闘技から離れたときに、やっぱり俺には格闘技しかないなと思ったのと、格闘技がホントに好きなんだなって格闘技への愛を感じて。僕は一生、格闘家でやっていって、格闘技を引退したら仕事はしたくないですから(笑)。格闘技で一生分稼ぐっていうのを本気でやりたくて。

K-1時代は、例えば試合に対して何かモチベーションを考えたり目的を探してたんですよ。『何々があるから格闘技頑張ろう』とか。昔はそういうくだらないモチベーションを考えてたことがあったんですけど違うなと思って。俺は格闘技がやりたいし、戦っていきたいっていう覚悟ができたんですよ。だから昔は試合が楽しみっていう感覚はなかったんです。毎回、心身ともに削られる競技だし、どんな試合でも無傷では終わらないじゃないですか。

でも、いま自分に心配はないんですよね。昔は『大丈夫か』ってビビりながら練習していて、だからかえって強くなっていけたんですけど。今は日に日に強くなる自分に自信があるので、どんどんのめり込めるし、より格闘技が好きになるし」

関連記事:コロナ禍で苦境に立つ日本格闘技界 「RIZIN」逆襲なるか 榊原CEOに聞く 「格闘技界は無くなってしまうのか」(前編) | TABLO