新生Kー1の申し子から格闘技の申し子へ 若き孤高の格闘家・平本蓮 RIZIN26大晦日に出陣 (インタビュー前編)

――ひたすら、自分を突き詰めていくという道を進んでいるという感じですね。

「だから孤高の存在でありたいなって思います。『格闘技のエンターテインメント性とは何か』を考えると、いわば非日常性という事になると思うんですよ。でも、日常でも見られるYouTubeの影響で格闘技をナメる人が増えたと思うんですよ。『ケンカ自慢』みたいな」

――ああ。「あの選手は俺なら倒せる」みたいな人たちですか。

「格闘技界が腐ってきた感じがするんですよね。茶番というか安っぽいなというか。それは自分で自分を否定するような世界を作ってるんじゃないかと思いました。だから、俺は日本の格闘家と同じ思考でやっていったら終わるな、と思ったんです。『日本は』とか『世界は』じゃなくて、シンプルに今の日本の格闘技は自分も含め、全然面白くねえなと思ったんで、だからRIZINを一から作っていく感じですね。今年の年末(自分の参戦で)からやっとRIZINが始まるって感じです」

――なるほど。いままで25回大会を開催してきたけれども……。

「俺が来るまでのRIZINは下積み時代です。マジで前座っす(笑)」

――ホントに楽しみです。

今度の試合は全国のケンカ自慢への制裁っすね。悪かったら偉いみたいな文化をいまだに持ってくるのってダサい

「これは予言じゃないですけど、俺が間違いなくRIZINの主役になるし、俺がこれから本当のRIZINを始めるっていう感じです。勝負事って自分で作っていくものだと思うんで。奪うものじゃなくて作るものなんです」

――舞台としては最高ですね、大晦日で。生放送にはタトゥーの関係(註・平本選手の身体にタトゥーが入っているため生放送は自粛という噂)で載らないようですけど。

「そこがまた新しい時代っぽくていいんじゃないですかね」

――でもPPVでは観られますからね。

「そうですね、スカパーや配信もあるし、YouTubeにも載るので。一生懸命やることには変わりないです」

――ところで対戦相手の萩原京平選手ですが、僕はあの選手の試合を初めて観た時、「素直にいい選手だな」と思ったんですよね、手足が長くて。同じストライカー同士です。既にインスタで絡んでいますが、改めてどういう評価をされていますか?

「あいつは、記者会見でスターになる道をなくしちゃってるんですよね。本当のスターって、『おまえの打撃なんか知らねえよ。俺のほうが全然強え。逆に俺が打ち勝ってぶっ飛ばしてやるよ、おまえの打撃なんか比じゃねえから』ぐらい言うんですよ。けどあいつは『おまえ打撃強いかもしれないけど総合ナメんなよ、俺がマウント取ってやる』ってクソダサと思って(笑)。

俺は16歳からこの(プロの)格闘技界にいるし、おまえより名前があるし、おまえよりもキャリア長いし、おまえよりも場数も踏んでるし、ルールは違えどホントに強いヤツとやってきたんで、ナメんじゃねえよっていうのをマジで見せますね。だから今度の試合は、公開処刑というか、全国のケンカ自慢への制裁っすね。

ちょっとした悪さで『昔、不良でした』とか、悪かったら偉いみたいな文化をいまだに持ってくる日本人っているじゃないですか。気色悪いなと思って。俺に『悪ぶってる』とか言ってくるヤツがいるんですけど、俺は悪ぶってないんですよ、不良でもなんでもないし。俺は自分の信念を貫いてるだけなんで不良とかじゃないんですよ」

――「何かをあえて言うこと」によって、自分を追い込んでそれをモチベーションにするファイターもいると思うんですけど。

「べつに煽っているとか、自分を追い詰めてるとかではないですね。やれると思ってるから、おまえらみたいに自分を奮い立たせるようなプレッシャーかけるほど俺は気持ち弱くねえよっていう」

――なるほど。シンプルに素直に出てくる言葉を言っているだけ、という事ですか。

「そうです、そうです。だから『平本はエンターテインメント性がすごい』と言ってくれる人はいるんですけど、俺は別に周りの反応は気にしてないし、思ったことを言うだけなんで。だから対戦する可能性がないって言われてる皇治(新生K-1から移籍の人気選手)のこともイジり続けてるんですよ。あいつなんか格闘技界の老害なんで。ボブ・サップとかチェ・ホンマンとかの名前出すぐらいだったら普通にリングで処刑して再起不能ぐらいにしてやりたいんですよ。あいつが一番格闘技界に必要ないんで」

――そう言えばYouTube観ました。平本選手の皇治選手のモノマネ、似てましたね。

「ハハハハハハ!(嬉しそう) 皇治が俺に長ったらしいツイートをしてきたんですけど、そもそも俺は皇治の人気のことなんて何も言ってないのに、『君も人気とか集められるように』って。もうそこで、論点がズレてるんですよ。俺は『弱い』しか言ってないんですよ。人気と知名度がどうじゃなく、ただ弱いって言ってるのに、あいつは『君は俺みたいに客を集められないから』とか、また論点をそらすことを言ってきて。『え? おまえ俺に弱い』って言われて『弱くねえよ』って言えないの? その時点で格闘家として終わってね? おまえマジでただの肉サンドバッグじゃんと思って」

――に、肉サンドバッグ!?(表現に思わずビックリ)

「はい(笑)。あいつのあだ名は肉サンドバッグです」

――でも、ほぼダウンしたことはない選手ですよね。

「それだって自分が(相手を)倒せないからじゃないですか。打たれ弱くてパンチ力めちゃくちゃある人の試合は超面白いじゃないですか。あいつ打たれ強くてパンチ力がないから、相手が強くない限り塩試合(註・塩=しょっぱい=つまらないの業界用語)確定なんですよ」

――平本選手と試合が組まれる可能性はあるんですかね?

「ないですね。もし可能性があるんだったら向こうから煽ってくるはずですよ」

――いま平本選手はフェザーですよね。

「フェザーです、65キロなんで」

――皇治選手は?

「60キロとかなんで、やらないと思います」

――やるとしたらキックルールですよね。

「総合でもどっちでもいいんですけど、絶対向こうがやらないですよ、ショボいんで」

宣言しますよ。立って殴って倒して殴って勝ちます

――話を大晦日の試合に戻します。今回の大晦日はRIZIN26は、メインの「朝倉海vs堀口恭司戦」に対して、元阪神タイガースの岡田彰布さんまでコメントしていたほど注目されています。平本選手と萩原京平選手との一戦は位置付けはセミではなくてもその次に注目されてるカードかなと思っています。裏メインというか。

「ファンの人かそう言ってくれてるのは、俺と萩原がやるからじゃなくて俺のデビュー戦だからだと思うんですよ。そういう試合にしますよ。『フタを開けてみたらトントンでいい勝負したね』とか『萩原は意外に強かったね』とか言わせたくないんで」

――なるほど。『互角に打ち合ったね』みたいな感じではなく。

「そうですそうです。『わりとマシだったね』とか言われたら、その時点でダメだと思うんで。だからといって気負ってるわけじゃないんですよ、完璧に萩原を研究して追求していますし」

――いま分析している訳ですね。

「そうです。潰しにいくんで」

――穴みたいなものは見つかりましたか、言える範囲で。

参考記事:あの「伝説の路上」で生まれた 決して逃げない覚悟 「天才」総合格闘家・朝倉海選手(YouTuber) | TABLO