私が見た漢民族のウイグル族差別 「逃げる者は射殺」の衝撃【後編】
5月24日、各メディアで中国のえげつなさを示す記事が発表された。〝少数〟民族、ウイグル族(人口約1000万人)に対する民族弾圧。その証拠の決定版ともいえる内部資料、「新疆公安ファイル」が流出し、その内容が明るみになったのだ。
「逃げる者は射殺」 中国のウイグル族「再教育施設」内部資料が流出
(2022/5/24)
https://mainichi.jp/articles/20220524/k00/00m/030/019000c
「(当局に)挑む者がいればまず射殺せよ」と指示する幹部の発言記録や2万人以上の収容者リストがそこには含まれていた。
治安維持という名目で、ウイグル族の人々を片っ端から収容し、ウイグル社会を根こそぎ破壊しようとする中国政府の狙いが見て取れる。100万人が収容されたという話しはこれでより、信憑性が高まったといえる。
こうしたウイグル族への苛烈な弾圧ぶりの一端は、2018年に僕自身、現地に向かったときに実感したことであった。記事の後編では、新疆ウイグル自治区で垣間見た漢民族による支配ぶりについて記してみたい。
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〝首都〟ウルムチの中心部は銀座のような煌びやかさがあった。新宿か銀座かと勘違いしそうな繁華街。歩いている人は漢民族ばかり。レストランから日本式の居酒屋まで食べるところもたくさんある。アンテナがたくさんあるのかネットは爆速。信号や道の程度も日本とそう変わらない。セキュリティのことは特に気にしなくてもすむ。ここが北京から1000キロ以上西にあるシルクロードのエリアだとはにわかには信じがたい、そんな街だった。
ところがだ。道を一本横断し、ウイグル族が住んでいるエリアに入ると様子は一変した。 ウイグル族がたくさん住んでいるエリアは、ネットの繋がりが悪い。ウイグル族が勝手に連絡を取り合うのを阻止するため、妨害電波を出しているのか。それとも逐一、通信内容を傍受していたりするのかもしれない。
羊肉の串を出すおいしい飲食店街に入るのには顔認証システムをパスする必要があった。店の多くは当局の命令で排除されてなくなっていた。ウイグル族の心のよりどころであるモスクに関しても、やはり、入口でセキュリティチェックを受ける必要があった。セキュリティチェックは荷物のX線チェックのほか、警備担当のウイグル族が常駐していた。中国政府はウイグル族自身に監視をさせているのだ。
ウルムチにあるウイグル語の出版社を訪れると、すでに使われておらず、廃屋になっていた。すぐそばのウルムチ大学はセキュリティチェックがなされていた。街の各地には監視カメラが設置され、突撃銃をもった警官があちこちにいた。
長距離バスターミナルへ行くと、セキュリティはさらに厳戒態勢。バスに乗るまでにX線検査が3回あった。そんな厳戒態勢だからなのか、それとも中国政府がウイグル族の移動を制限しているのか。90年代初頭は20分に一回のペースで出ていた、〝首都〟ウルムチ~観光地トルファンへのバスは一日に数本になり、あとは乗用車による乗り合いタクシーしかなかったりした。