「山上徹也容疑者」とは何者なのか 安倍元総理暗殺は最近多発しているアメリカ銃乱射事件と同種の犯行である

総理時代のSP。2017年(撮影@編集部)

安倍元総理の暗殺ニュースを目の当たりにし、アメリカでは大統領の暗殺が多いことをうっすらと思い浮かべた人は多いと思う。犯人の山上徹也は、幼い頃の父親の死後、母親によるシングルマザーの家庭で育てられたが、その母親の愛情を宗教に奪われたという強い反感と共に、自己の自立に意識を注げなかったことから社会性を奪われた。そのため、大人しく礼儀正しい外見と裏腹に心の中で完全に社会から孤立し、本当の自分が生きられない社会に対するうっぷんや怒りを自己の中に着実に募らせた。

そして、母親が宗教団体に多額の寄付をしたことが引き金となり、それまでの自分のみじめな生い立ち・怒りをすべてその宗教団体に向けよう考えたが、ガードが固いことから断念し、その団体と親しい安倍元総理にターゲットをスリカエた殺害犯行になる。言わば、自分のすべてを奪われたことに対する、死刑(自爆)を覚悟した「誇大復讐自殺」ということになる。

では、実際のアメリカの暗殺はというと、概略以下のようになる:

リンカーン大統領―北部陣営に立ち南北戦争を引き起こしたことに対する、複数からなるグループによる計画的犯行

ジェームズ・ガーフィールドー精神に障害を抱えた犯人による、特定派閥を攻撃し共和党を分裂させたことに対する、神が命じたとする犯行

ウイリアム・マッキンリー―講演を聞くなどにより、無政府主義の考えに傾倒した犯人による犯行

ジョン・F・ケネディー―共産主義に傾倒した犯人による、カストロ暗殺計画に対する報復犯行

*ロナルド・レーガン(未遂)―12歳の女優ジョディ・フォスターに偏執的に憧れた精神に障害を抱えた犯人による、フォスターと同レベルの存在になろうとするための手段。ハイジャックによる自殺やジミー・カーターの殺害も考える。

ジョージ・W・ブッシュ(計画)―イスラム国を支持するアメリカ滞在イラク人によるブッシュの外交政策に反対の犯行

ロバート・ケネディー―当時司法長官で民主党の大統領候補であったロバート・ケネディーの親イスラエル的発言に対する犯行

*ジョン・レノン(歌手)*―レノンを殺害することで自分も何者かになろうした犯人による犯行。他にもエリザベス・テイラーやジョニー・カーソン(司会)の殺害も考える。

一見すると、レーガンとレノンの暗殺(未遂)の精神的障害傾向の高い犯行を除けば、それ以外は、ある程度理解のできる政治信条に基づいた暗殺であるかのように受け取ることもできる。しかし、ここで考えて欲しいのは、いくら政治的信条に傾倒していたとしても、私たちが大統領殺害という究極の殺人行為を自分の死を覚悟して実行できるだろうか、ということである。