「意気地なしマスカレード」より。指原莉乃の総選挙は行われなかった
もはや、ここ約十年での風物詩になっていた、2019年度のAKB総選挙は行われない、と運営が発表しました。理由は明らかにされていませんが、運営側によると、「私たちが飽きたというよりもファンの皆さんが飽きたからでは」という事です。
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むしろ総選挙自体が、「おかしい」「前代未聞」ものでした。アイドルユニットに順位をつけるなどという発想がありませんでした。こじんまりと始まった第一回総選挙。1位は当時、秋元康氏のお気に入りで絶対的センター・前田敦子。第二回が前回第2位だった大島優子が1位奪還。この時あたりから「神7」と言われ始めました。すなわち1位から7位までのメンバーを指します。現在のAKBの順位ではない、この時の1位から7位が「神7」と言うファンも少なくありません。第三回以降、段々と一般にもAKB総選挙が認知されていきます。文化人、例えば小林よしのり氏や田原総一朗氏らがAKBファンを公言。国民的アイドルに上っていったのもこの時期でしょう。
この順位づけは、AKBグループの本懐と言っても過言ではありません。ユニットメンバーに順番をつけるなど実はかなり酷です。しかし、それを受け入れざるを得ないメンバーにファンは熱狂しました。
前田敦子、大島優子のナンバー1,2位時代が続き、次世代はアイドルサイボーグと言われた渡辺麻友と言われていました。その時にまだ10位近くにいた、当時はバラエティ担当の指原莉乃の存在は余り知られていませんでした。「緑のジャージを着た面白い子」「ブログで公言した通り、バストアップの為豆乳を飲むメンバー」くらいの位置づけでした。
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日産スタジアムで指原莉乃が1位になった時、大島優子の「ええ!?」という表情を覚えている人も多いのではないでしょうか。この辺りから芸能人もAKB総選挙によくも悪くも注目し、コメントをするようになりました。大袈裟ではなく「国民的行事の一つ」になった事は確かだと思います。
坂道グループに差を付けられて
現代のメンバーにインタビューする時に大体、出てくるのが「今のAKBは危うい」という主旨です。すなわちライバルグループだった乃木坂46、欅坂46、日向坂46といった「坂道グループ」にCD売上げ、写真集売上げも差をつけられています。逆転現象が起こりました。現役メンバーも10代20代の子たちとは言え、そのあたりはちゃんと理解しています。
握手会の弊害(事件が起こったりしまた)や総選挙の良し悪し(落選したメンバーが可哀そう)といったことも論議されました。一人のメンバーに何十万円もの大枚をはたくファンがいるので、純粋な人気投票ではないこと、など。因みにそれは大島優子の「そういう風潮に言いたいのは一人一人の投票は皆さんの愛です」というMCで打ち消されました。
そして、総選挙で最も衝撃的だったのは、上位に挙がったメンバー、下がったメンバーが人前でガチ泣きする点です。これは昭和のアイドルもモーニング娘。にもももクロにもなかったことです。足腰が立たなくなるメンバー(横山由依)などもいました。衝撃的でした。
さすがに現在は、そういった風景はさほど、見られなくなりました。メンバーも一種の風物詩として見ているように感じられます。しかし、あると無いとでは随分違います。「偉大なるマンネリ」でも良いのでこの稀有なシステムは、やってみて も良いのではというのが個人的感想です。(文◎久田将義)