新年あけましておめでとうございます。
みなさまはどちらへ初詣に行かれましたか?
何万人という多くの参拝者を集める神社に行かれた方も、地元の氏神様に行かれた方もいるでしょう。せっかくの新年ですので「どうした!? ウォーカー」的な神社をご紹介いたしましょう。
ひとくちに神社といっても全国に8万8千社あるといわれ、ご利益も様々。新年のキリっとした空気の中、合格祈願・商売繁盛・縁結びなど一年の幸せを祈願するのは、とても静謐でさわやかな行為のようにも思えます。
しかし、あなたの願いが叶うということは誰かの願いが叶わなくなるということでもあります。
あなたが合格すれば誰かは不合格になり、あなたの商売が繁盛することで誰かが廃業し、あなたに良縁が結ばれることで相手と誰かの縁が切れる。
ものごとの多くは陰陽あわせもつ表裏一体にできています。
普通、皆さんが初詣に行くような寺社はその「陽」の部分だけが見えることがほとんどですが、今回はそのウラにある「陰」がむき出しになった神社です。
熊本市内から車で30分ほど、阿蘇の山々を遠くにのぞむ田園風景の中にあるのが「弓削神社」。孝謙天皇を祭神とし、地元に古くから寄り添っている神社です。
夫婦和合や子授け、五穀豊穣に効験があるとされ、そのの象徴ともいうべきこんなモチーフが供えてあります。
まあ、ご立派な男根。しかし男性だけでは子授けはおろか、夫婦和合も叶いません。
やはり女性が必要です。
境内には他にも、性別を問わず多くの性器がいくつも並べられています。手水舎には水もしたたる男根、本殿のわきには巨大で真っ赤な男根。
性器だらけの神社には「陰部」という言葉からそれだけでも「陰」な印象をもつ方が多いでしょう。
しかし、本当の「陰」はこの先にあります。
この弓削神宮のそばには、阿蘇の美しい水をたたえて流れる白川が流れています。
川の対岸に上弓削神社があり、両社は一対をなしています。
抜けるような青空と、熊本の大地にいだかれた外観からは「陰」の空気は感じられません。
境内も、もう一方の弓削神社よりポップな性器があり、なんと乗ることもできます。
世にも珍しい性器アトラクションは、普段使いには邪魔になりそうなほどのサイズ。
しかし、お遊びはここまで。
本殿のわきにある建物の中をのぞいくと、そこにはアトラクションでふざけていたことを後悔させる「あるもの」が山のように積まれているのです。
太いクギが何本も打ちこまれた男根。
さらにものすごい量のクギが打ち込まれているものもありました。
そして写真右側、クギが密集して打ち込まれている部分には女性器が描かれています。
そうです。
この弓削神社の陰の部分とは、クギだらけの性器がたくさん奉納されているところです。
「縁結びのご利益」なんてよく耳にしますが、冒頭にも書いた通りこちらの縁を結ぶということは、相手と誰かの縁を切るということ。そこには愛憎にまみれた奪い合いがあったり、浮気した相手を呪うような思いが出たりすることもあるでしょう。この場所に渦巻くのはそんな真っ黒な感情。
念を込めて打ち込まれたクギ。その一本一本に激しい怨念が感じられます。この念は遠い過去や、別の世界のものではありません。
クギの新しさから最近奉納されたと思しきものや、もはや愛とは呼べないほどに「死ね」と書かれたものも。
さらには性器だけでなく、人自体を呪ったわら人形まで。
極端な言い方ではありますが、意識化されないだけであってあなたが何かを願いそれが叶うということは、暗に誰かの不幸を招くことになるということなのです。
熊本の美しい青空の下、そんな真っ黒な願いが顕現化されて渦巻くスポット。
これも一つの、祈りの形なのかもしれません。
文◎Mr.tsubaking
⬛️弓削神宮
熊本県熊本市北区龍田町弓削489(上弓削神社は258番地)
096−382−5501
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