【ダークサイドルポ】山口連続殺人、津山三十人殺しにつながる系譜「地図から消えた村」青森県杉沢村の現在

2013年07月27日 杉沢村

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 ネット怪談の元祖にして代表格である「杉沢村伝説」について、今の若者はどれだけ知っているだろうか。

 

「かつて青森県にあった集落、杉沢村。そこでは昔、発狂した一人の青年が村人を皆殺しにするという事件が起こった。県は事件を隠蔽するため村の存在を地図から抹消。しかし今でも杉沢村は当時のまま山中に残っていて、そこを訪れる者は呪われてしまう......」

 

 そんな伝説が、ちょうどインターネットの普及と足並みをそろえて、1990年代半ばから2000年初めにかけて大流行。杉沢村の存在を突き止めようと、2ちゃんねるを中心に様々な憶測が飛び交っていった。

 

 メディアによって初めて杉沢村の場所が「特定」されたのは、『ダークサイドJAPAN』創刊号(2000年8月発行)におけるルポによってだった。この記事を読むと、当時の杉沢村(とされていた廃集落)は、細いあぜ道や山道を通った、無人の山中にひっそりと残されていたことが分かる。そんな秘境の集落跡だからこそ、恐怖の村のモデルとなり、一連の伝説も生まれていったのだろう。

 

 さて、それから13年もの月日が流れた現在。問題の場所はどうなっているだろうか。青森駅から車を走らせ、もうすっかり住所も割れている「杉沢村」へと向かってみた。すでに伝説は解明されているとはいえ、やはり一抹の恐怖はつきまとう。

(ノーマルタイヤで来ちゃったけど、万年雪の山奥だったら、スリップして死ぬかも......)

(いくら怪談が嘘でも、気の狂った殺人鬼の一人位はいて、死ぬかも......)

 ......しかしいくら走れど建物は途切れず、道路はキチンと舗装されたまま。カーナビによれば、だいぶ目的地も近くなっている。いつになったら秘境っぽくなるんだろう、と思った瞬間。

 

「あった!」

 

 杉沢村の目印である鳥居を、道路沿いにて普通に発見! しかも鳥居前には駐車できるスペースがあり、地元民の車が一台停まっていた(山菜採りに来ていた老夫婦らしい)。鳥居の奥に入ってみれば、木々が切り開かれたスペースが広がり、明らかに大規模な工事がなされている。昔の建物も多少残っているが、山道はそれなりに広くて歩きやすいし、空き地には粗大ゴミが沢山捨ててある。このロマンの無さは、いったいなんだろう......。

 

 どうやらこの周辺にて、2000年代半ばから民間の処理施設が建設されたようだ。そのため道路も整備され、山の中もだいぶ切り開かれてしまった。かつて日本中を騒がせたオカルトスポットは、今では交通の便もよい、地元民の山菜採りスポットとなっていたのだ。

 

 一抹の寂しさをひきずりながら東京に帰った僕。しかしその後なにげなく調べてみたところ、気になる点が一つあった。あの杉沢村を開発した施設である(株)青森下水道開発センターは、産業廃棄物の不法投棄で'06年に事業停止処分を受けていたのだ。さらに、その後を引き継いだ(株)青森汚泥処理センターも資金難から'08年に倒産。その後、裁判所が土地を管理し、入札も行われたようだが、現在の所有者がどうなっているのかは不明だ。

 

 これはもしや、杉沢村に手をつけたことによる呪い......? この土地から生まれた伝説を葬ったことによる、なにがしかの報復がなされたのでは......などと、不謹慎ながら思ってしまったのである。ちなみに、この施設は市のし尿処理を請け負っていたので、青森市民のトイレ事情にも影響を及ぼしているかもしれない。もし今後、青森市にて「処理が追いつかないので、あまりトイレの使用を控えて下さい」といった通達が市民に流れたら、我々はこう思ってしまうだろう。「杉沢村伝説は、まだ生きている」、と。

Written Photo by 吉田悠軌

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