大阪のJR天王寺駅周辺には、かつて「100年ババア」と呼ばれるホームレスの老婆が住みついていた。
伸び放題の白髪を腰のあたりにグルグルと巻き付け、90°に曲がってしまった腰をかばいながら、手製の乳母車を押して歩くその姿を見れば、だれもが「これは現実の光景だろうか?」と目を疑うほどのインパクトがあった。そして、かなり昔から路上生活をしていたので、「あれは、100年くらい住みついている」という噂話から、彼女は「100年ババア」と呼ばれるようになったらしい。
そんな老婆には立ち退き騒動の渦中に信じがたい噂がささやかれた。数年前、天王寺駅の再開発にともない、路上生活者などの立ち退き命令が激しくなっていた頃。役所の作業員がとんでもない光景を目にしたという。その噂に詳しい、飲食店を営む男性Aが話を聞かせてくれた。
「役所の職員がいっぱい来てやな、段ボールハウスや寝床を撤去していきよんねや。あれは、かわいそうやったがな」
たしかに今年オープンしたばかりの某ショッピングモール周辺には、それらしき段ボールハウスや路上生活者が見当たらない。かなり、厳しい立ち退き命令があったのだろう。
「ほんで100年ババアが住んどった寝床を撤去した職員の話やねんけどな......。何枚か重ねとった段ボールの床をガバっと剥がしたら、1万円札がキレイに敷き詰められとってんて!いやー、床一面って言うとったからね、数千万円以上はあったやろうな」
おおよそ、100年にもわたって路上生活を続けるホームレスの老婆が本当にそんな大金を持っていたのだろうか? 疑わしい話だが、駅前周辺でその噂について聞き込みをしてみると、"100年ババア金持ち説"を裏付ける、有力な証言をいくつか得られた。
中華屋の店主は、100年ババアの段ボールハウスまでよく出前に行っていたという。
「週に2回くらいですかね? あのおばあちゃんに出前してましたわ。ちゃんと代金もくれるし、注文する品数も多いんでね。良い常連さんでした」
また、ネットカフェの店長を務める男性も次のように語る。
「だいたい、1時間〜2時間くらいの利用でほぼ毎日来られてましたね。なにをしてたかは知りませんけど......。必ず、カレーやとかピザとかを注文してましたね。もちろん、しっかり代金ももらってました」
これらの証言を得ると、「段ボールの下に数千万円」という噂は真実のような気がしてならない。そして、前出の飲食店を営む男性Aが現在の100年ババアに関して証言する。
「撤去のあとは、ちょこちょこ見かけたんやけど最近は見ませんな。近所の人の話やと琵琶湖にある高級な老人ホームへ入所したいう噂やわ」
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Written by 村上茜丸
Photo by ホームレス大図鑑
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