「結婚だけが女性の幸せではない!」 これが現代のアイドル MV撮影でウエディングドレス着用を拒んだアンジュルム・和田彩花
もしも、卒業後の和田さんであれば、ウェディングドレスを着ることはなかったでしょう。でも、今回はマネージャーと言い合いになりながらも結局はウェディングドレスを着ました。しかも、メンバーたちにその姿がきれいだったと言われ、「ま、いっか」という気持ちになったといいます。
つまり、和田さんは、ウェディングドレスを単純に美しい存在として認識するメンバーたちの考えを受け入れたということです。多様性が重要視され、個人の思想が尊重されるアンジュルムの中で、和田さんは自分の思想よりも、メンバーたちの素直な気持ちを優先したのです。たしかに和田さん的には不本意かもしれませんが、アンジュルムへの置き土産としてはこれほどまでに美しいものはなかったはずです。
YouTubeの番組『アプカミ#132』において、『恋はアッチャアッチャ』のミュージックビデオ撮影メイキングが配信されています。そこでZUMI監督は、和田さんのアンジュルム卒業を祝福する場のメタファーとして結婚式場というシチュエーションを作ったと説明しています。「結婚」や「ゴール」の象徴ではなく、あくまで「祝福」の象徴としてのウェディングドレスであり、だからこそ新郎もいなければ、バージンロードを一緒に歩く父親もいないのでしょう。
参考資料:YouTube番組『アプカミ#132』 ミュージックビデオ撮影メイキング動画
また、相手がいない状態なのに、ウェディングドレスを着て、その様子を多くの人に祝福されるというシチュエーションからは、「結婚」というシステムに対する強烈な批判的精神を感じ取ることができます。パラドクシカルではあるものの、「結婚だけがゴールではない」という和田さんの考えが、結果的に表現できたということでもあるのです。このように深読みをすれば、むしろ和田さんの思想を反映したウェディングドレスだったと考えられるのです。
最後の最後まで「女性のあり方」に苦悩した和田彩花。でも、多様性を実現するアンジュルムにおいて、その苦悩をメンバーたちに押し付けることはしかなったのです。後輩たちを下手に“和田彩花色”に染めたくない、後輩たちにはのびのびと自分の思う方向に進んでほしい──そんな和田さんの願いが表れたミュージックビデオだったと言えるでしょう。
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和田さん自身は、その気持ちのすべてを語るタイプではなく、心の奥底で何を考えているかは本人にしかわかりません。だから、ここに綴られた内容は想像の域を出ないものです。でも、和田さんが苦悩の末にウェディングドレスを着たという事実を知れば、その美しさもより輝くものになるはずです。どうぞ、コミカルな楽曲イメージからは想像できないほどの複雑な思いが入り混じる『恋はアッチャアッチャ』のミュージックビデオをご堪能ください。(文◎大塚ナギサ)