吉展ちゃん誘拐殺人事件 東京オリンピック前年に発生した凶悪事件の遺体遺棄現場にて|八木澤高明

雑居ビルや住宅が建ち並ぶ町の一角に吉展ちゃんが連れ去られた入谷南公園はある。事件が起きたのは東京オリンピック行われた前年の昭和38年のことだった。

参考記事:この事件から「人さらい」が全国に流布した 昭和の子供たちが親からもっとも大きな嘘をつかれていたもの「口裂け女」|中川淳一郎

上野御徒町の時計店に勤めていた犯人の小原保は借金を重ね生活に行き詰まっていた。親族に金を借りようと、故郷の福島県石川町に足を運んだりしたが、これまでも借金をしていたこともあり、結局は金を借りることはできなかった。何とか現金を得ようと考えていたが、たまたま見た黒澤明監督の「天国と地獄」から誘拐を思いついた。子供を物色し歩いている時に見かけたのが、当時4歳の吉展ちゃんだった。