平成の音楽シーンを席巻した『小室ミュージック』を大学の授業で教授に聴かせてみた結果|中川淳一郎
平成初期の1990年代の曲にはいくつものミリオンセラーがあった。CHAGEandASKA、Dreams Come True、Mr. Childrenなど様々なバンドや歌手がミリオンを記録したが、その中でも一つの「軍団」ともいえたのがいわゆる「小室ファミリー」である。
trf、篠原涼子、H jungle with t、globe、安室奈美恵、華原朋美などがその代表格だが、とにかく売れまくった。CMにも使われるほか、私はブームのピークの頃は大学生だったためカラオケでもよく歌われていた。その後、CDアルバムはブックオフの100円コーナーに大量に並ぶこととなるのだが、1993年に大学に入学してから常に自分の周りの音楽は「小室ファミリー」によるものだった。松任谷由実やサザンオールスターズも健在だったし、時々Puffyが出てきたりしたものの、やはり小室ファミリーこそが商業の世界では王者だった。
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そんな中、商学部の授業で「商品評価論」というものがあった。先生が理系出身のため、商品の「官能検査」などをして、材料の違いなどから原価やら味の違いを探るといった講座だった。チームを組み、複数の醤油を皆で舐めたり、時には沸騰させて残った粉から何かを読み解くなどした。
毎回同一テーマで各チームが実験をし、発表をしていたのだが、ある時は自由演技というか、各チームが好きなテーマを見つけ、それを発表する回もあった。我々3年生は3人いて、4年生が3人のチームだったが、お茶目なA先輩が、「今度、小室ファミリーを調べようぜ。なんであんなに売れているのか、といったことを分析しよう。K先生、多分聴いたことないから、まずはこの“小室現象”を伝えることも先生の役に立つんじゃないかな」と提案。
それは確かに面白いと思ったし、当時50代後半で、私のゼミの担当教官だったK先生は演歌が好きなので、小室サウンズはきっと知らないことだろう。