平成の音楽シーンを席巻した『小室ミュージック』を大学の授業で教授に聴かせてみた結果|中川淳一郎
全国をglobeにくっついて歩いた入社2年目の冬
さて、そんな私もこの2年後の1997年に広告代理店に入り、入社2年目の冬、コカ・コーラの仕事でglobeの全国ツアーに帯同することとなった。globeといえば、全国各所の大箱を満席にできたが、この時は札幌・東京・大阪・福岡のZEPPでライブをしたのだ。コカ・コーラ購入者は、ペットボトルに貼られたシールを台紙に貼り、抽選でこれらのライブに参加することができるのだ。
ライブ終了後はスタッフの前で小室、KEIKO、マーク・パンサーの3人が挨拶をし、我々スタッフをねぎらってくれた。これは、初めて上司がつかない仕事だったため、非常に思い出深い。雪が降りしきる札幌の街を一人歩き、酒場を求めたことなどを考えると恋しさとせつなさと心強さとを感じてしまうではないか。
そんな感傷をもたらしてくれた小室も今や芸能界を引退し、KEIKOはくも膜下出血で現在もリハビリ中。平成の最初約10年を彩った小室サウンドだが、なんだかんだいって、様々な思い出とともにあったことは否めない。(文◎中川淳一郎 連載『俺の平成史』)
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