京アニ放火事件被害者の実名報道問題 忘れてはならない2017年12月に発生した「さいたま風俗ビル火災」を

8月12日の朝日新聞デジタルによれば、「京アニ側は7月22日、『プライバシーが侵害され、ご遺族が甚大な被害を受ける可能性がある』として実名公表を控えるよう文書で府警に要望」したという。また、世論も被害者遺族の感情に沿うべきという意見が多数を占めている。それだけに、京都府警としても様子見せざるを得ない、というところなのだろう。

犯罪被害者の実名報道の是非自体は様々な角度から議論されており、筆者はいまここでそれを問おうとは思わない。しかし、京アニ放火事件被害者の実名報道がこれだけ議論されているのを見ると、どうしても思い出してしまう出来事がある。それは、2017年12月17日に起きた大宮におけるソープランド火災だ。

当時筆者は、5人の犠牲者を出したこの事件を本サイトで取材し、記事にした。的確な避難誘導を怠った店側の姿勢に、長年風俗取材を重ねている身として、改めてその危うさを感じたものだったが、今回の京アニ実名報道から想起したのはそのことではない。これだけ被害者配慮の声が大きいご時世で、犠牲者であるソープ嬢の実名をなんら躊躇なく公表した埼玉県警と、それに追随した新聞を始めとする大マスコミの見識である。

参考記事:【さいたま風俗ビル火災・現場写真】被害者への献花台にオトナの玩具!? 現場を取材して見えてきた地元の”本音” | TABLO