京アニ放火事件被害者の実名報道問題 忘れてはならない2017年12月に発生した「さいたま風俗ビル火災」を

京アニの実名公表で被害者側代理人が懸念をしめしいると同様に、いやはっきり言えばいまだ根強い職業差別を鑑みれば、大宮の犠牲者遺族たち(と犠牲者の名誉)が被る苦痛が甚大であることは誰にでも想像できる。つまり、警察・大マスコミはそれについて一顧だにしなかった、と言ってもよいだろう。

前述の朝日新聞記事は、

「~~犯罪被害者等基本計画では、被害者の実名を公表するかは『総合的に勘案しつつ、個別具体的な案件ごとに適切な発表内容となるよう配慮する』と規定。決定権は事実上警察に委ねられた」とも述べる。この伝で言えば、大宮のケースは埼玉県警の責任であり、それに無条件・横並びで追随した大マスコミには責任がない、ということなのだろうか。

大宮ソープ火災被害者の実名報道は、早い段階でネットが反応した。もちろん、興味本位で煽るグロテスクなものもあったが、その多くは実名報道に関する警察、特にマスコミへの批判であった。ここら辺りに、テレビ・新聞などの大マスコミとネットを中心とした世論の乖離を感じざるを得ない。「マズゴミ」批判もむべかるかな、である。(取材・文◎鈴木光司)

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