「おやじアート」は無意味の極致! 芸術とは何だ!? 不思議な魅力を放つ「面白きこともなき世を面白く」の世界|Mr.tsubaking

さらによくよく見ていくと、カオスではなく一定方向に向かっているセンスと、丁寧な仕事ぶりがうかがえる品ばかり。これらの作品を作っているのが、「王様」となのる人物です。王様は山口県萩市で生まれ、地元の偉人吉田松陰の「時代にいかに関わって生きていくか考えて行動せよ」という精神に感動し、芸術の道を志します。芸大の受験がうまくいかず悶々とする日々のなかで、受験ではなく自分なりの作品を世に出していく決意を固めます。

 

 

それからというもの「おやじキャラ」の作品に没頭。おやじといえばネガティブなイメージをもたれるものですが、王様はこれを作品の上で「笑いと哀愁」に昇華させようとしています。筆者はこの、笑いと哀愁が同居する世界観には松本人志や内村光良がつくるコントの風情を感じるのです。そして、ここ数年「キモカワ」といった言葉とともに、こうした作品にも注目が集まるようになってきました。

 

 

まさに「時代と関わっていく」ようになったのです。王様の作品は、キモカワのうえに全くの無意味。自粛ムードの昨今、エンタメは「余剰なもの」として真っ先に切り捨てられるわけですが、この余剰をもつことこそ豊かさで、王様の作る全く無意味で非実用的なものほど、心の拠り所になったりするのです。

 

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