北朝鮮で「飲み会」を開いた軍幹部14人をまとめて処刑 市民の「集会」「うわさ話」も禁止に 閉じられた国の中で何が起きているのか?
金正恩党委員長は過去に、飲酒に絡んで朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の幹部を処刑したことがある。
2012年には、「故金正日氏の追悼期間中に飲酒した北朝鮮軍の高級幹部14人を迫撃砲で処刑した」との情報も伝えられた。迫撃砲というのは、本来は敵の陣地を攻撃するのに用いられるもので、人間のような小さな目標に命中させるのは難しい。しかし威力が大きいため、至近距離に着弾しただけで人体はバラバラになってしまう。これは軍紀の乱れに対する処罰というより、軍に対して恐怖心を植え付ける目的からのものだったと思われる。
禁止されたのは飲み会や世間話だけではない。
2019年3月には、一般国民に対する統制が以前にもまして強化された。2月末にベトナムのハノイで行われた米朝首脳会談以降、全国各地から「大勢が逮捕された」とのうわさが流れ、住民は震え上がり、ちょっとした集まりも避けているという。
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平壌、咸興(ハムン)、清津(チョンジン)では、宗教行為、売春、違法映像の流通以外にも、米朝首脳会談についての批判をしたことで逮捕されるという事件が複数起きているというのだ。
これは最高指導者に対する批判とみなされるとあって、コネやカネで解決できるものではなく、重い刑罰は避けられないだろうと情報筋は見ている。一方で、飲酒や遊興で逮捕された場合には後に釈放はされるものの、高額の罰金を要求されるという。
別の情報筋によると、その額は少なくとも中国人民元で数千元だ(1000元は約1万6600円)。取り締まりを口実に庶民の懐からカネを搾り取ろうというものなのか、実際に社会的に危険とみなしているのか。住民は疑いの目で見ている。(記事提供:デイリーNKジャパン)