「もうどうでもいい」刑務所を出たばかりの宮崎(69歳)が速攻で食い逃げした令和という社会 ずっと真面目に生きてきたのに何故?

希望が見いだせない

何故、何度も食い逃げをしてしまうのか。

弁護人と検察官、裁判官もこの点を問いただしていました。原因がわからなければ再犯を防ぐ手立てもないのです。

犯罪だからやってはいけない。それくらいはもちろん彼もわかっています。それでもやってしまう自分について彼自身も持てあまし、悩み苦しんでいました。

「人を騙して…やっちゃいけないこと、なんですよね。私の気持ちの弱さというか、『いいや、刑務所行っちゃえ』と思ってしまいました」

「今回は3日しかもたなかったのは追い込まれたというか…だからってこういうことする自分が自分でも悔しいです。本当は犯罪なんてしたくないんです」

「自分だって、生活保護でもなんでも生活を建て直したいって思ってるんです。最低限でも貧乏でも、普通の生活がしたいですよ」

「社会のせいにするとかそういうことじゃないですけど、でもここ何年か、みんな急にまとまって悪くなったと思います」

彼はまた実刑判決を受け服役をします。

しかしそこで彼が反省や更正ができるでしょうか。生きることに希望を持てなくなった人間に反省や更正があるのでしょうか。

「急にまとまって悪くなった」と彼が評するこの社会は、彼が希望を見いだせる社会だとは思えません。(取材・文◎鈴木孔明)

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