「訴えたもの勝ち」になり週刊誌は冬の時代へ 宝島社からの提訴に脱力した日々|久田将義
当時の僕は、他誌でもこういった形のお詫び文もあると思っていて、「どこが悪いんだ」などと熱くなっていましたが、今考えると編集長としては全くスマートではなかったです。
東京新聞の夕刊にもこの件が報道されました。「お詫び文の後に言い訳は通じるのか」というようなタイトルでした。司法クラブの記者が、「何か面白い事ないかな」と載せたのだと想像します
結局、宝島社の提訴が取り下げられたはずですが、ただ熱くなるだけではこの世界を渡ってはいけない、根回しや時には妥協とも言うべき判断が必要なんだと思った次第。
あれから十年以上経った今でも、その頃のライターから「相変わらず尖ってますね」と笑われますが、性分だからしょうがないです。とは言え、少しは改めたいな、と思っています。
その後、「週刊誌の筆が鈍った時代」になっていきました。そこから何誌か廃刊します。「週刊宝石」「読売ウィークリー」等々です。そして、「週刊文春」の一人勝ち時代になっていき、「文春砲」(という言い方はやめた方がいいのではと思いますが)と呼ばれていく、現代に続いていく訳です。(久田将義・連載『偉そうにしないでください。』第十一回)