「東京・目白の田中角栄邸から新潟の生家まで3回曲がったら着く説」を実験してみた │久田将義
関越トンネルにようやく入ります。長さ11,055m。高速自動車国道として日本最長。このトンネルを過ぎると一気に景色が変わるはずです。
そして抜けます。「トンネルを抜けるとそこは雪国だった」という小説の一節を思い出します。
それよりも、前日雨だったので道の具合が気になります。ゆっくりと車を走らせていきます。どんどん進めていきましょう。北陸道とのJCTが見えます。
真っすぐ行くと新潟市内に行きますが、田中角栄さんは柏崎市出身。新潟とはかなり離れています。
西山ICで降りればそこはもう「角栄さん」(地元の人がそう言っているようなので)の地元です。
●3つ目右折
さて道なりに下っていくと料金所につきます。ここで3回目の曲がり角の遭遇。
「3回曲がったら角栄さんの家に着く」はず。iPhoneの地図アプリの通りに右折。ここを真っすぐ行くと着くのだろうか……。と思ったらTの字。
どっちか曲がらなければならないじゃん。3回ではなかったのか。というか東京から出発した時点でミスった事を実感
●4回目左折
そして左折。本当に着いてくれ。が、道は人も車も走っておらず少し寂しいし、田中角栄さんの生家が本当にあるのかと不安感が。
と、思いきや道に「田中」の標識がある豪邸があるではないですか。路肩にハザードを出して停車。検索で引っかかった田中角栄さんの実家の写真と同じ。あまりそこで写真を撮るのも失礼かと思い、早々に引き上げる事にしました。
周囲には人が本当にいなかったのですが、近所でご自宅の庭を手入れしているご婦人がいました。一応、本当に田中角栄さんの生家か確認したかったのです。
僕「すみません。いきなりごめんなさい。田中角栄さんの生まれた家ってあそこで良いんですか」
ご婦人「そうそう。その道をまっすぐ行ったところです(良かった合ってる)」
僕「有難うござました!」と立ち去ろうとしましたが、ふと聞きたい事が浮かびました。
引き返し「ごめんなさい! 一つだけ。田中角栄さんは皆さんにとって英雄なんですね」
「そうそう。道をよくしてくれてこんな雪の深い……(聞き取れず)」
「有り難うございました!」
と踵を返すと後ろからご婦人の声が聞こえました。
「新潟というか日本の(英雄)だね」
思わず後ろを振り返りました。ご婦人は僕の事などいなかったように、また庭掃除にいそしんでいました。これ以上声をかけるも迷惑だと思い車に戻りました。東京・目白の邸宅から4回(本当は3回)曲がれば田中角栄生家に着く。本当でした。これから東京へ戻ります。(文・撮影@久田将義)