ワクチンもPCRもなし 炎天下に立たされ続けた東京オリンピックの警備員たち 告発「わたしたちは人間ではないのか」
24時間働かされる「荷物検査員」の本音 彼らは人間ではない
「オリンピック会場に入るには空港のような手荷物検査が全員に実施されています。その検査ははじめは警備員がやっていたのですが、だんだん自衛隊の方がその任務に就くことが多くなってきました。この自衛隊の方々の検査が少し雑というか…私たち警備員は大会前に研修を受けて持ち込み禁止物品のレクチャーを受けていますが、自衛隊はそういうものは受けていないのではないかと思います。具体的に言うと、缶や瓶は会場内には持ち込めないはずなのに自衛隊が手荷物検査をするようになってからは会場内でも普通に缶ジュースを飲んでる方などを見かけるようになりました。私が一度見てしまった出来事なのですが、X線検査装置に入らない大きなカバンを持った方が会場に来られたことがありました。装置に入らないなら本来はカバンを開けて目視で何が入っているかを確認することになっています。でも自衛隊の方はそれをそのまま通してしまっていました。わざわざ荷物をあけるのが手間なのはわかりますが…さすがにそれを見た時は唖然としました」
無観客開催での開催が決まった以上、こうした杜撰な検査でも大きな問題は起きないのかもしれません。しかしもしもこれが観客を入れての開催であったら、と考えるとゾッとしてしまいます。しかし、自衛隊のそんな状況にも警備員さんは理解を示していました。
「詳しくは聞いていませんが、オリンピックに動員されている自衛隊の方は私たち警備員よりもずっと拘束時間も長く過酷な勤務をしているみたいです。ある隊員の方が『俺たちなら24時間働かせても誰からも文句言われないから』と吐き捨てるように言っているのを聞いたことがあります。十分な研修もなしに長時間駆り出されていることを考えると、仕事に雑な部分が出てくるのもしかたのないことなのかな、とも思います。悪いのは彼らではなく、彼らを使っている人たちです」
テレビでは連日、華々しい活躍をする選手たちの姿が映し出されていました。
その一方で、ワクチンもPCRも無しに歯を食いしばって大会を支えている多くの人が存在していたのです。
お話を伺った警備員さんは最後にこんな言葉を言っていました。
「多くは求めていないけれど、せめて1人の人間として扱ってほしい」
華やかな部分ばかりがクローズアップされがちですが、これも東京オリンピックの一面です。(取材・文◎編集部)
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