ワクチンもPCRもなし 炎天下に立たされ続けた東京オリンピックの警備員たち 告発「わたしたちは人間ではないのか」

ワクチンどころかPCRもなし? 警備員への酷すぎる待遇

写真はイメージです

「コロナへの対策は…何もありません。大会が始まる前は『大会に関わる警備員の8割にワクチンを接種させる』といった話がありましたが、いつの間にか聞かなくなりました。私はワクチンは接種してませんし、周りの隊員もほとんど誰も接種してません。他社の警備員も同じようなものだと思います。ワクチンどころか、私たちはPCR検査も一切受けずに勤務しています。テレビでは毎日のように大会関係者が何人感染した、というようなニュースが流れていますが、私たち警備員に関しては検査すらしていないのでその人数には入りません。海外から来た関係者と接する場面はあります。時には選手の方と接する機会だってあります。そのたびに申し訳ない気持ちになりますし『これでいいのかな』とも思います」

 

政府関係者は大会前から「バブル」という言葉を多用し「安心安全」とお題目のように唱えてきました。至る所に空いたその「バブル」の穴は何度も指摘されてきましたが、こんなところにも大きな穴が空いていました。「アスリートファースト」ももちろん大切なことですが、大会を裏で支える方々は新型コロナに感染しようとどうでもいいのでしょうか。その姿勢が、オリンピックを目指して努力してきたアスリートの方を感染させてしまうリスクに繋がるとは考えられなかったのでしょうか。「アスリートファースト」という標語が虚しく見えてきます。

警備員をはじめ、多くの関係者は新型コロナや熱中症の危険と常に隣り合わせのまま働いています。その待遇も伺いました。

 

「この前、ネットニュースの記事で『オリンピックの警備員は日当24,000円』というようなのを見て驚きました。どこの世界の話なんだろうって。一応オリンピック手当てというのは出てるんですが1勤務1,500円です。12時間拘束の2時間休憩なので実働10時間、日当にしたら12,000円くらいです。夜勤だって20,000円に届きません。もちろん会社によってある程度の差はあると思いますが、私はこれくらいで働いています」

 

大雨でも炎天下でもずっと持ち場にいなければならない警備員にどれくらいの日当が適正なのかはわかりません。しかし、一部で報じられているような高額の日当を貰えている警備員ばかりではないようです。

2019年8月、警備業法の改正がありました。この改正によって、警備員になる際に必要とされていた40時間の研修が20時間にまで短縮されるなど、以前から低かった警備員になるためのハードルがより低くなったのです。この改正はオリンピック開催に際して警備員が不足することを見越して為されたものだと言われています。そんな場当たり的な対応で問題の解決をはかるのではなく、もっと他にやるべきことはあったように思えてなりません。

今回大会では多くの民間警備員に加え、警察や自衛隊も警備にあたっています。それだけ多くの人数を動員している主目的はテロの警戒です。しかし、その点に関しても疑問符がついてしまう状況があるそうです。

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