「山上徹也容疑者」とは何者なのか 安倍元総理暗殺は最近多発しているアメリカ銃乱射事件と同種の犯行である

死線を越えてあることを実行に移すには、それに相当する怒りが必要となる。彼らにはみな、共通してその背後に、他者と同じように社会生活を送ることをできなくさせた「心の闇」が存在する。そして、その闇の原因は彼らが物心付く前の幼少期に始まる。学校に上がる前の家庭環境の中に、通常のコミュニケーションが行われていないのだ。それは、親が完全に子供を放置してしまうネグレクトの場合もあれば、子どもが自分の本当の気持ちを表に出せないような親による心理操作や今にも夫婦が離婚しそうな家庭の不安定による場合もある。

いずれにせよ、幼少期中に本心を出せる双方向のコミュニケーションが存在しないため、子供は初歩的な対人技術を身に付けることができなかったり、表面的にだけ親(回り)に合わせ本心を言わずすべて自分の中にため込んでしまうスタイルが確立されてしまう。

また、そうした非自然な環境で育てられることで、物事をネガティブに考える癖が付いてしまう。そのため、こうした歪んだ環境で育てられた子供は、学校に上がってからも、対人技術がないため仲間外れにされいじめに遭ったり、家で親に対してしてきたように回りの顔色ばかりを気にし極端に大人しかったり、理想的な良い子を演じたり、過剰にお調子者を演じたりといった、社会から物理的に孤立、もしくは、表向きは回りと仲良くやっているように見えても内心孤立しているといった人格を形成するようになる。

そして、こうした抑圧状態の長期に渡る継続からくるうっぷん・ストレス・妬み・怒りの着実な蓄積が「死線」を越えさせてしまうのである。つまり、彼らの政治信条はそうした怒りを正当に爆発させるための大儀名分に過ぎず、元凶は、歪んだ幼少期の家庭環境とその後の社会的苦痛の継続という、極めて個人的な理由によるものであり、極論すれば、そうした信条は後付けの表現方法に過ぎず、彼らの身近にあり同調できるものであれば何でも良かったと言っても過言ではない。

そう考えると、レーガン暗殺を試みたジョン・ヒンクリーやレノンを殺害したマーク・チャプマンが例外ではなく、むしろ、他の暗殺者も同じ歪んだ心理状態のベクトル上にあり、チャップマンやヒンクリーは妄想症状が他者よりも進んだケースと考えるのが妥当と言える(妄想性統合失調)。

安倍元総理を暗殺した山上徹也の特定宗教団体に対する「誇大復讐自殺」(死刑覚悟)も、上記の南北戦争誘発・共和党分裂・無政府主義・反共産主義・イスラム国弾圧・新イスラエルに対する「報復暗殺」と同じカテゴリーに当てはまると考えることもできる。