韓国南西部の珍島沖で起きた客船事故。19日午前現在で、476人いた乗客の中で救助されたのは174人、行方不明者は273人、死亡者は29人となった。事故後、2日以上経ったいまでも多くの人が沈没した船の中に閉じこめられたままだ。救助が進むなか、民間のダイバーを自称する女性がテレビでこんな発言をした。
「外側から客室のなかの音がした。生存者がいるはず」
船内に残された人々がどのような状態にあるのか、まったく把握できていないなか、この報道は被害者家族だけでなく国中に希望をもたらした。続けて彼女は、「多くのダイバーが駆けつけたが協力させてもらえてない」「当局関係者に『適当に時間をつぶして帰れ』と言われた」と当局の対応のまずさについて発言。このニュースはSNSなどを通じて広く拡散され、多くのネットユーザーが「国は何をしている」と怒りのコメントを寄せた。
しかし、事故の現場では一部の記者のなかで、こんな声がでていたという。
「ホン・ガヘがなぜここに!?」
じつはこの民間ダイバーを自称するホン・ガヘという女性、業界の一部で「うそつき」として有名だったのだ。彼女はダイバーでもなんでもなく、もちろん発言内容もまったくのデタラメだった。
ホン・ガヘはK-POPアイドルにまつわる騒動も起こしてる。日本デビューも果たしているガールズグループTーaraをご存知だろうか。このT-araは現在、ほとんど活動できていない状態だが、その理由にはホン・ガヘが絡んでいるという。T-araは2012年頃、グループ内部で特定メンバーへの"いじめ"が深刻だという情報がネット上に流れ、一時活動を休止。その後、復帰したものの、かつてのような勢いは失ってしまった。じつは「いじめ情報」の内容のほとんどがホン・ガヘが流布したもので、その際、彼女はいじめを受けていたというメンバー・ファヨンの従姉妹だと偽わっていたのだ。
韓国メディアの報道によるとホン・ガヘは、「日本の赤坂で底辺の暮らしをしていた」が金銭的なトラブルを起こし、韓国に逃げ帰った。その後、自らを「作詞家」と偽り1億円もの金を騙し取り、詐欺罪で捜査された過去もある。ある野球選手の子供を「身ごもった」と吹聴し、騒ぎを起こしたことも。そのためホン・ガヘは芸能やスポーツ関係の記者たちのあいだでは名の知れた存在だったのだ。
数々の嘘を重ねてきた彼女だが、多くの人命がかかわる事件での嘘は韓国全国民の怒りを買ってしまった。一般人であるにも関わらず、スポーツ紙などでは彼女の本名を含めて素性を詳細に記した報道もなされている。
日本でも少し前、"偽音楽家"が問題になったが、どんな国にもこういったお騒がせ人間はいるようだ。
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Written by 李ソヨン
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