俳優のピエール瀧さんがコカインを使用した容疑で逮捕された、という報道がありました。詳しい状況は現段階では何もわかりませんが、もし実際にコカインを使用していたのであれば麻薬及び向精神薬取締法で起訴され2、3ヶ月後くらいには裁判を受けることになると思われます。おそらく初犯だと思われますので、本人は素直に罪を認めているようですし、きちんとした身元引受人がいれば保釈請求もすんなり通ると思います。
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コカインを自分で使うためだけのために入手し自分だけで使っていたのであれば、懲役1年6ヶ月前後、それに執行猶予がついた判決になるはずです。芸能人や有名な人の薬物事件の量刑は重くなる傾向があるためもう少し重たいものになるかもしれませんが、いずれにしても執行猶予がつくことは間違いないはずです。
ないとは思いますが、もしもピエール瀧さんが周りの人にもコカインを勧めたり売っていたり、そんな売人のようなことをしていれば話はまったく変わってきます。その場合にはどれくらいの量を所持し捌いたかにもよりますが初犯であっても実刑の可能性も十分に考えられます。
ルートは関係ない 「なぜ手を出したのか」が大事
薬物の裁判で主に話されるのはなぜクスリに手を出したのか、そして今後どのようにやめるのか、の二点です。
入手ルートに関しても聞かれますが、裁判を傍聴していてあまりそこは重要なこととは思えません。供述拒否する者も多くいますし、たとえ売人の名前を挙げ「もう縁を切る」と法廷で宣言し実際にその売人と縁を切ったところで、その気になれば他のルートで容易に違法薬物を入手することはできるからです。
「路上で売人に声をかけられて買った」
と話す被告人もたくさん観てきました。新宿、池袋、六本木、川崎などやはり繁華街が多いようです。繁華街に限った話でもありません。
「日暮里の駐車場でタバコを吸っていたら売人に声をかけられて買ってしまった」
「等々力のコンビニ近くで黒人の売人に話しかけられて買った」
と話していた者もいました。
ピエール瀧さんがコカインを入手したルートについては今後捜査が進むはずです。芸能関係者の薬物事件はたびたび報道されていますし、明らかになるかはわかりませんが関係者のルートがあるのかもしれません。
裁判はあっさりしたものになるはず
いつから、どんな経緯でピエール瀧さんがコカインを使うようになったのか、どれくらいの頻度で使っていたのか、現時点では何もわかりません。
依存の程度もわかりませんが、今後二度と違法薬物に手を出さないためにもしばらくは誘惑の多すぎる東京は離れた方が良いかもしれません。
ダルクなどの薬物依存症回復支援施設の力を借りたり病院での治療をしながら、周りの人のサポートを受けて再犯を防ぐ努力をしていくのが一番だと思います。しかしダルクや病院に行ったからといって完全に薬物を断てるわけではありません。
「ダルクに通っていたら、ダルクの人間から覚醒剤をやろうと誘われた」
と話していた被告人もいました。どこに行っても誘惑はありますし、結局は本人次第になってしまう部分はどうしても出てきます。
ピエール瀧さんは有名な方なので今回のコカインについて大きく報じられました。ただ、初犯で否認しているわけでもないので裁判はあっさりしたものになると思います。
しかし周知の通り、薬物事件は非常に再犯率が高いです。2回、3回と回数が増えるたびにだんだん法廷の空気も変わります。10回目にもなればそれは悲惨なものです。
ピエール瀧さんがそうなるかどうかは彼次第です。もし裁判手続きが終わった後に彼が芸能界にも他の場所にも居場所がなくなっていたらどうなってしまうか、は考えてしまいます。
過ちは過ちとして反省してもらうのは当然ですが、やり直す機会を奪うようなことはあってはならないことです。ピエール瀧さんが復帰して活躍する姿を楽しみに待っています。(文◎鈴木孔明)