あるキャリア官僚が防衛省内の自分のデスクで言い放った。
「鉄砲の弾を鉄砲で撃ち落とすことは不可能なんですよ。じゃあ、どうしたら良いのかわかりますか。もっとも合理的で人的被害が少ないのは敵基地攻撃論です。そうは思いませんか」
彼の机の上にはミサイルの資料が氾濫していた。その席で、部下がいるのもかかわらず、官僚がこのような声を挙げている事に私は若干の不安を抱いた。しかし、部下たちも平然としており、もしかして、この手の会話は日常的に行われているのかなと感じた。
「確かに、日本のイージス艦は優秀です。しかし核を持つことは許されていない。私も自衛官ですから反対です。通常兵器で本当は十分戦えます」(防衛省幹部)
専守防衛に対してはどうなのか。
「他国が日本を脅かしている。その大事に日本を守るのが我々の役目です」(防衛省幹部)
と明言を避け一般論に終始した。
幹部はさら言う。「すでにアメリカのロッキード社の手を借りずとも日本のメーカーだけで戦闘機も製造できる。例えば外は三菱重工、中はNECというように。これはアメリカが許さないでしょうが」
取材は15分程度で終わったが、あまりにもあけっびろに敵基地攻撃論を披露する幹部に私は、違和感を抱いた。が、専門家が言うのだからミサイル防衛に関しては一理あるのだろう。とても国民の理解は得られないだろうが。もちろん、防衛省内でも意見の対立があるだろう。彼の思惑通り、国策が動くとは思えない。
対話から制裁へ。制裁しつつ対話へ。揺れ動く日本の北朝鮮への対応だが、最悪の事態だけは避けなければならない。また、北朝鮮には拉致被害者が、まだいらっしゃって、そういう非人道的な事をする国だという事。そして、日本国内には拉致被害者を待っている、ご高齢になる家族の方々もお待ちである事も忘れてはならない。(中村健一)
≪参考資料≫
大川 隆法
何でも聞けちゃう人。