男はなぜ妻を刺し、自宅に放火するほど、長時間の怒りが収まらなかったのかーー? 【建設作業員憤怒事件】

2017年12月11日 タイ チェンマイ 放火 死傷 逮捕

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thai.png事件を報じる新聞『CHIANG MAI NEWS』


タイ北部チェンマイで発狂した男性が妻を刺し怪我を負わせたうえ自宅に放火したと新聞CHIANG MAI NEWSやThairathが報じています。

事件を起こしたのはミャンマー国籍のタイ・ヤイ族で建設作業員の男性(46)。発狂した男性は作業員宿舎に放火した後、刃物で同じくタイ・ヤイ族の妻(40)を刺しました。左の肋骨あたりに重傷を負った妻が這って助けを求めてきたことから近隣住民が警察に通報しました。

警察がレスキュー隊の消防車とともに現場に急行すると、男は借家の自宅に逃げ込み、中から刃物を振りかざしながらパチンコで警官らを攻撃。レスキュー隊が作業員宿舎に放水して消火作業をしているうちに男は自宅にも火を放ちました。警官が男に投降するよう説得を試みますが、逆にレスキュー隊員がパチンコに当たり、顔の右頬を負傷する事態に。

膠着状態を打開すべく、消防車から自宅内の男目がけて放水を勢いよく浴びせると、次第に男は弱り、倒れ込んだところを警官が"さすまた"で男を取り押さえ身柄を確保。実に3時間に及ぶ攻防の末の逮捕劇となりました。


隣国からタイへ富を求めて多く流入している民族


男と妻はいずれもタイ・ヤイ族とのことですが、タイ・ヤイ族は隣国ミャンマーで2番目に人口の多いシャン族の一派で、ミャンマーのシャン州に多く居住しています。
一部はかつてのミャンマー政府軍との戦闘から逃れ、また近年は母国より賃金の高い働き口を求めてタイに流入していて、その数は数十万人にのぼると言われています。
多くはタイ北部や国境県に住んでいますが、首都バンコクでは豊かになったタイ人がやりたがらない建設現場や食堂などの3K職場でタイ・ヤイ族が働いている例が多く見られます。タイ・ヤイ族の言葉とタイ語は似ているため、意思疎通がしやすいこともあって重宝がられているようです。
男の夫婦も、そんなタイでの一獲千金を夢見て移り住んできたものと思われます。

ただ近隣住民の話では、男は激高しやすい性格でよく妻と口論をしていたそうです。この日も妻との口論が元で怒りに歯止めが利かなくなり、発狂したとのことでした。

大金を夢見て移住したものの、甘くなかった現実に直面して人生を悲観し情緒不安定になっていたのかもしれません。そんな鬱憤が今回とうとう爆発し、自暴自棄になったのだと推測されます。

後日談が男のそんな心情を物語っています。拘置所に収監された男は、牢の鉄柵に結びつけた防寒ジャケットで首吊り自殺をした姿で発見されました。守衛交代の隙をついてのことでした...。

文◎赤熊賢

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