圧倒的に面白い作品を作り出すマッドハウス(『寄生獣 セイの格率』より)
アニメ『寄生獣』『ブギーポップは笑わない』『ちはやふる』など、様々な人気作品を生み出したアニメ制作会社・マッドハウス。そのマッドハウスに"ブラック企業"疑惑が浮上しています。
4月5日、マッドハウスに在籍している制作進行Aさんから相談を受けたというブラック企業ユニオンの坂倉昇平氏が、自身のTwitterにてその詳細を説明。現在は世間から多くの耳目を集めている状況です。
参考記事:小田急電鉄が運転見合わせ トラブルで対応するのはアルバイトだというブラック企業ぶりが指摘
坂倉氏のTwitterは以下の通り。(https://twitter.com/magazine_posse/status/1113999944803803136)
「サマーウォーズ」「時をかける少女」などで知られる日本テレビ子会社のアニメ制作会社「マッドハウス」に在籍中の制作進行Aさんが、未払い残業代の請求と長時間労働の改善、スタッフによるパワハラの謝罪等を求め、ブラック企業ユニオンに加入。本日、団体交渉を申し入れました!
(https://twitter.com/magazine_posse/status/1114000075091398656)
マッドハウスは「ちはやふる」「ダイヤのA」「宇宙よりも遠い場所」「カードキャプターさくら」等の人気アニメを多数制作していますが、放映までの本編制作の遅れにより、月200時間超の残業、深夜早朝に及ぶ勤務、休日出勤を強いられ、制作進行Aさんは過労で倒れ救急車で運ばれたこともありました。
株式会社マッドハウスは中野区の新中野と中野坂上の中間あたりの場所に位置しており、近所の住民からは真夜中でもずっと電気がついたままだということで"不夜城"と呼ばれているそうです。
マッドハウスの入ったビルの横のマンションに住んでいるという住人男性は、このように証言します。
「うちのマンションの駐車場にコンビニがあるんですけど、そこに夜中でも早朝でも、しょっちゅう社員の人が出入りしているのを見かけてました。若い方が多いですけど、皆さん一様に疲れ果てた顔をして覇気が無かったですね。アニメーターって大変な仕事なんだろうな...って気の毒に思ってました。あと、終電や始発を気にしなくていいようにでしょうね、バイク通勤の人が多いみたいで駐車場はバイクだらけですよ」
また、マッドハウスが横にあることで、日常的に困ったこともあるそう。
「うちのお風呂、マッドハウス側に窓がついてるんですけど。お風呂に入ってると、働いてる社員さんと目が合うことがあるんですよね...。あれ、困るんで大家さんに今度お願いして何とかしてもらおうと思ってます」
お風呂の話はマッドハウスに責任は無いと思いますが、社員さんが常に疲弊した状態であることや、真夜中や早朝、関係なく働いていることは間違いないようです。
2010年10月には東京都杉並区のアニメ制作会社で、制作進行を担当していた当時28歳の元社員男性が過労で鬱病になり、退職後に自殺するという事件が起きています。この時は新宿労働基準監督署に労災と認定されましたが、遺族側代理人の弁護士が発表した「月600時間労働」という過酷過ぎる労働環境に世間では驚愕の声があがっていました。
マッドハウスといえば、日本だけでなく世界中に熱狂的なファンを持つアニメ界の老舗制作会社であり、こういった疑惑が浮上するのは非常に残念なことです。今後、マッドハウスは制作進行Aさんにどのような対応をしていくのか。今後も経緯を見守っていきたいと思います。(文◎小池ロンポワン)