会社で毎日罵倒され、恋人にも「人間のクズ」と言われた男(49)が"刃物"を持ち最期に向かった場所とは

2019年04月05日 ストーカー裁判 刃物 罵倒 蔑み 裁判傍聴 鈴木孔明

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 角中亮(仮名、裁判当時49歳)と被害女性は平成25年末から交際をしていました。年齢は同じくらいで、一度は別れたこともありましたが平成26年11月によりを戻し交際を続けていました。被害女性は彼のことを知人に「夫のような人」と紹介し「一緒に老後は過ごそう」などと将来のことを話していました。

 うまくいっていた二人でしたが、平成30年3月、再び別れ話が持ち上がってきました。別れ話を切り出したのは被害女性の方です。この別れ話が後々の事件へと発展していきます。

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 同年4月20日、彼は女性の住んでいたマンションへやってきました。インターホンを連打する彼に恐怖を覚えた被害女性は警察に通報し、駆けつけた警察を交えた話し合いの末に彼は「もう二度と彼女に近づかない」という誓約書を書いてその場は収まりました。

 しかし5日後の4月25日早朝、彼は再び被害女性宅へやって来ました。彼女は不在でしたが、彼はオートロックのマンション玄関を他人に紛れて入り込み二時間ほど滞在しました。

 そして同日昼頃、彼は被害女性の勤めていた会社にやって来て面会を要求しました。
「どうしてもお会いしたい」
 そう受付の人に言っていました。そして意味深な言葉も言っていたそうです。
「覚悟はしている」
 当然面会は断られ、この時は彼はおとなしく帰りました。夜になって、今度は被害女性の元に彼から一通のメールが送られてきました。

『辛くて辛くて一人ぼっちで...この先一人ぼっちで生きていけない。死を選ぶ』

 被害女性はこのメールを無視しました。
 そして翌26日、彼は再び勤務先へやって来ました。やって来た時点ですでに警察には通報していましたが、警察官がやって来る前に彼は犯行に到りました。受付で持参のカバンから包丁を取り出し自分の首もとにそれを押し当て叫びました。

「俺が悪い! 全部俺が悪いんだ! 死ぬよ! 死んであいつに見せつけてやる!」

 彼はその後すぐに駆けつけた警察官の説得に応じて包丁を捨て、逮捕されました。起訴された罪名は3つ、建造物侵入と銃刀法、そしてストーカー規制法違反でした。
 被害女性は取り調べで「被告人の異常な行動に恐怖を感じている」と話していました。事件後、勤めていた会社にはいられなくなって転職を余儀なくされたそうです。

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 何故彼はこんな犯行に到ってしまったのか、彼の言い分です。

「彼女は別れたつもりだったかもしれません。でも、私は納得出来ていませんでした。彼女はプライドが高く、常に上から目線でした。それでも私は唯一の心の支えとしていたんです。それなのに別れ話の時には酷いことを言われました。『住む世界が違う』とか『あなたみたいな年齢で何の役職にも付いてないなんて、人間のクズ』『能力がない、信じがたいバカ』などと罵倒されました。それが悔しくて悔しくて...。『どこまで人を蔑めば気が済むんだ』と思いました。謝ってほしいと思いました。でも一度警察に通報されたこともあって、彼女の会社に行けば捕まると思いました。だったらもう会社で自殺してやろう、と思いました」

 彼は被害女性にだけでなく、自身の勤めている会社でも毎日罵倒をされていたと言います。

「些細なことでも『アホ』『バカ』と大勢の前で罵倒されるのが常態化していて精神的に追い込まれていました。一度上司にパワハラについて文句を言ったら配置転換という名目で左遷されました。労働組合に相談してからはパワハラについては改善しましたが、会社の人からは無視されています。誰も口を利いてくれません」

 会社では毎日馬鹿にされ、「心の支え」だと思っていた女性にも別れ話を突きつけられた挙げ句に罵倒され...。自尊心を踏みにじられ続ければ人は壊れます。

 今後、彼は転職をして心機一転やり直していくそうです。新しい場所に彼を受け入れてくれる人がいるかどうかはわかりません。

 そして、彼に「心の支え」はもういません。(取材・文◎鈴木孔明)

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