山本太郎参院議員が10月31日に開かれた秋の園遊会で天皇陛下に手紙を渡した件が問題になっている。前例のない事態に参院議員運営委員会は対応に苦慮し、連休明けの11月4日に山本氏から事情を聴取。進退についての判断を本人に委ねた。
これは「できるなら自分から議員を辞めてほしい」ということだ。
だが山本氏はこれを拒否。すでに「事件」から3日以上経過しているので懲罰委員会にもかけられず、参院議長による注意と皇室行事への出席自粛にとどまると見られる。
さて、山本氏による「天皇直訴事件」が起こった時、永田町の反応は冷ややかだった。そもそも園遊会など天皇陛下ご臨席の場に参加する時は、さまざまな「マナー」がある。男性ならモーニング着用などドレスコードがあることはもちろん、女性の場合は紫色の着物は着てはいけないとされる。紫は古来から至上の色と考えられているからだ。
また天皇陛下のお声がかかる前に話しかけてもいけない。これは世の東西を問わず、いわば「宮廷マナー」である。フランス皇太子妃だったマリー・アントワネットがルイ15世の寵妃であるデュ・バリー夫人に声をかけず、アントワネットの母国のオーストリアとフランスの国際問題に発展しかけたことは有名だ。また中国でも紫禁城内を皇帝が通る時、家臣は道の脇に壁に向かって立ち、決して皇帝を見ることは許されなかった。
これらは絶対君主時代の話だが、一部は「マナー」として生き残っている。国際会議や行事での席順の決定などもそうだ。天皇陛下主催の園遊会はいわば「宮廷文化」を再現しているわけで、本来ならわきまえている人間しか参加できないものだが......。
実際に園遊会の参加者には「マナー破り」も多いらしい。
「山本氏が天皇陛下に手紙を渡そうと近寄った時、本来なら警護がそれを阻止すべきだったが......」
園遊会に何度も出席した関係者はこう話す。
「しかし毎回、天皇陛下に近寄ろうとする人はものすごく多く、『こんにちは』とか『お元気ですか』など勝手に声をかけてしまう。警護としてはいちいちチェックできない状態だ」
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Written by 安積明子
Photo by ひとり舞台 脱原発-闘う役者の真実-/集英社
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