小保方氏も負傷した「NHKスペシャル」放映からわずか数日後の悲劇
理化学研究所発生・再生科学総合研究センター笹井芳樹副センター長(53)の自殺は衝撃的だった。記者の中には、「罪悪感」のようなものを感じている人間もいるようだ。それほど、熾烈な取材攻勢が彼を追い詰めていた。
例えば7月27日に放送された『NHKスペシャル 調査報告 STAP細胞 不正の深層』は、特に笹井氏とSTAP細胞の研究との関わりについて厳しく取り上げている。合計10分以上も笹井氏への追及に時間を費やしていたほどだ。この時、NHKは笹井氏本人とのメールでのやりとりを公開したが、これもNHKがしつこく何度も笹井氏に取材を申し込んだ結果、しぶしぶ彼が返事を出したものだった。この番組に関してはつい先日も小保方晴子氏を追いかけまわし、その結果、軽傷を負わせてしまったことも話題になったが、実は笹井氏にも執拗に取材をしていた事がうかがい知れる。
今回、このような結果になり、NHKは後味が悪いだろうが、マスコミとしては取材対象者に直接話を聞くのは当然のことで、それをしないほうが逆におかしいとも言える。問題は、私生活にも踏み込むような記事を書いた一部マスコミにあったのではないか。特に3月、4月は笹井氏のプライベートを取り上げる週刊誌は多かった。
・小保方氏が宿泊していた神戸ポートピアホテルから、小保方氏と笹井氏が一緒に出てきたという目撃談
・二人でタクシーに乗り込み小保方氏のマンションへ向かったという目撃談
・阪急三宮駅で待ち合わせして、二人で仲良く食事に行っていた
・笹井氏は学生時代に女性にフラれ、しかも研究のライバルだった男性にとられた苦い経験がある。だからこそ、同じ精細医療分野でIPS細胞で先をゆく山中教授をライバル視して小保方氏をユニットリーダーに抜擢して一矢報いようとしていた
などである。まだまだあるが省略させていただく。
つまるところ、内容は笹井氏と小保方がさも不倫関係にあったというものや山中教授への強烈なライバル心などのプライベートな面に焦点を当てるものが多かった。これらの記事が掲載された当時の笹井氏は、疲れ果てた顔で理研の職員たちに「週刊誌の報道は信じるな。かなりひどい内容で事実でないことばかり」と漏らしていたという。
その後、理化学研究所の改革委員会の提言書により、小保方晴子ユニットリーダーに対する監督責任を問い、舞台となった神戸のセンターの解体、指導役の笹井氏は副センター長の職を更迭される寸前になっていた。小保方氏との不倫疑惑が報じられた時、妻とは既に別居状態にあったという。これはマスコミの取材が妻の元にも及んでいたため、避難させていただけだったが、拠り所の妻もそばにおらず、心身ともに限界が来ていたのかもしれない。自ら命を絶ったのは、NHKスペシャルが放映されたわずか9日後。なんとも後味の悪い最期だった。
Written by 阿蘭澄史
Photo by wikipediaより
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