人権団体ヒューマンライツ・ナウ(以下HRN)が、またしても不思議な声明を発表した。小中学生と思われるモデルが児童ポルノに出演している事を確認し、児童ポルノ法違反の疑いがあるとして警察に通報したというのだ。また、HRNは出演者の年齢確認などチェック体制に不備があるとも主張している。
さて、ではこのニュースから得られる情報を整理してみよう。まず、HRNは秋葉原などのビデオショップに陳列されている商品の中から「6年生 本物」などと謳い文句が書かれているDVDを見付け出し、そのパッケージや映像を小児科医に見せ、「小学校高学年~中学生とみられる出演者が7人確認できた」と言質を取ったようだ。
■ Twitterで事足りる文字数で記事が終わる大ピンチ
まず最初に一言でぶった切らせて欲しい。
「本当に小~中学生が出演しているポルノのパッケージに、わざわざ "本物6年生" などと書くバカはいない。」
もしくはこんな言い方でもよかろう。
「秋葉原のビデオ店に陳列されているポルノという時点で、出演者はすべて成人女性である。本物の児童ポルノなど、あるとしたら "本当のアングラ流通" だけである。そんな物が秋葉原の電気街流通に乗る訳がないだろう。」
■ HRNは何を見たのか?
もはや書く事が何もなくなってしまったので、仕方ないのでHRNが一体何を見たのか考察してお茶を濁してみよう。
とはいえ、これもすぐに答えが出てしまった。おそらくHRNが大騒ぎした "児童ポルノ" とは、『First Star』というロリ系を得意とするメーカーの商品だろう。このメーカーの作品の中には『6年生 本物ロ●ータビデオ (裏)』『愛知県「小○校6年生」SEX動画 神レベル 本物小○生』といった具合に、あえていかがわしいタイトルを付けている物が多数ある。
だが、これらの商品はビデオショップだけではなく、DMMのような通販サイトでも扱われているので、れっきとしたAV作品だ。という事は、撮影時に厳しく年齢確認を取っている(※1)ので、出演女優はすべて成人女性だと断言していい。HRNが依頼したという小児科医は一体何を基準に小~中学生と判断したのだろうか。是非ともその小児科医の先生の実名を公表していただきたいところだ。国際NGOのHRNへの協力なのだから、名前を出したって恥ずかしくはなかろう。
※1 何年も前から、AV業界では男優・女優はもとより、撮影に参加するすべてのスタッフの年齢確認を行っている。例え有名なベテラン男優・女優であっても、1作品ごとにわざわざ年確を取り直す。これはかなり重い業界ルールなので、破る事は到底考えられず、そこに不備がある商品は大きな流通では取り扱って貰えない。余談だが、この年確に対して反抗的な態度を見せた人物はレジェンド・加藤鷹ひとりであろう。「オレ?オレ加藤鷹」の一言で済まそうとした逸話は伝説として語り継がれている。
■ 法廷で全否定されているタナー法について
児童ポルノが問題視されるようになってから、何件か児ポ法に関する刑事裁判が行われたが、そこでよく持ち出されるのが悪名高き "タナー法" である。タナー法とは、イギリスの学者が提唱した「乳房・陰毛の成長具合によって何段階かに分類し、女性の年齢を割り出す」という手法。
過去にこの手法を用いて検察がCG絵が児童ポルノであると立証しようとしたが、貧乳系のAV女優の身体を判定させたところ「未成年だ」という結論になってしまい、検察の主張が覆される事となった。それくらい役に立たないのがタナー法と覚えておこう。
どうしてそんなお笑いアイテムと化しているタナー法を持ち出したのかと言うと、おそらく今回HRNが鑑定を依頼した小児科医は、このタナー法か、それに準ずる手法を用いたと思われるからだ。報道の内容を見る限りでは「筋肉や骨格から」という一文があるので、タナー法以上に何の根拠にもならない方法である可能性も高い。
■お約束と化しているHRNの大嘘
今回の声明の中で、HRNは以下のように主張している。
・警察の取り締まりが不十分
・出演者の年齢確認などチェック体制に不備がある
・審査や流通の段階で出演者の年齢が確認できる仕組みを作れ
これを "児童ポルノ問題" として考えた場合、HRNの主張は全て大嘘と言っていい。順を追って解説する。
まず警察の取り締まりについて、対象が法に定義された "本物の児童ポルノ" であるならば、取り締まりは充分だ。少なくとも、秋葉原などのビデオショップに置かれる代物ではないし、歌舞伎町などの裏DVD屋でも今やおっかなくて扱えないと言っているような状況である。これはそれ系のシノギをしている人物が直接ボヤいていたので間違いではないだろう。今や "本物の児童ポルノ" など売り場が作れないから、裏稼業の人間が管理する編集部屋や倉庫にダンボールに入れられて眠っている。
次に出演者の年齢確認に不備があるという指摘についてだが、これはもう上で反論し尽くした。AVメーカーが電気街流通に乗せて売っているAVならば、チェック体制は厳しすぎるくらいである。
最後に同じ事の繰り返しになるが、審査の段階どころか撮影の段階で厳しく年齢確認をし、それがない素材は売って貰えないのだから、これ以上の仕組みなど必要ない。なぜHRNはこんなすぐにバレる嘘を大々的に発せるのだろうか。
こう言っておいてなんだが、HRNの主張がもし正しかったとするならば、それはAVではなくジュニアアイドルのイメージビデオが対象で、児童ポルノの定義を拡大解釈した場合だろう。
ところが、それ系の作品には「本物6年生」といった煽り文句が書かれる事は少ないはず。というのも、そういった作品を扱っているメーカーは法的にセーフだと思って作っているので、堂々と「○山×子 12歳」といった具合に、モデルの名前と年齢を正直に書くケースが殆どなのだ。したがって「本物6年生」といった胡散臭い単語ではなく、「○山×子 小学校6年生」のような表記になるはずである。
少しはHRNに助け舟でも出してみるかと思ったが、やはりどの角度から考えても嘘は嘘でしかない。
「ロリコンやオタクが相手なら何をやっても良いだろう」と暴れるのは勝手だが、本心から児童を守りたいと考えているならば、下手に嘘を混ぜて派手に喧伝するのではなく、例え内容が地味でもありのままを正々堂々と伝えてはどうだろうか。なぜ「自分達が疑われる、それ即ち守るべき児童を守れなくなる」のだと考えられないのか。
HRNに子供を守る気などさらさら無いというのであれば理解は早いのだが、決してそうではないと信じておく。
Written by 荒井禎雄
Photo by Luke,Ma
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