2017年9月12日午前10時ころ、神戸市長田区で響いた銃声が、周辺住民を驚かせた。任侠団体山口組織田絆誠代表を狙った神戸山口組が拳銃をぶっ放したのだ。これによって任侠団体山口組構成員が死亡。任侠団体山口組のトップを的にかけるという意味では非常に重要な事件となった。
今回の銃撃死亡事件の発端となったとされるのが八月末に開かれた、任侠山口組の記者会見だ。これはまるで30年前の山口組とそこから分裂した一和会の抗争、山一抗争を彷彿させるものだった。任侠山口組幹部の頭の中にもこの光景があったに違いない。そこで神戸山口組井上邦雄組長をこきおろしたのが、トリガーとなったのではないか。
元より、六代目山口組と神戸山口組は警察庁から抗争状態に入ったと認識されており、神戸山口組からさらに分裂した任侠団体山口組に対しても、兵庫県警や大阪府警は当然のこと、全国の警察は抗争を警戒をしていた。すでに、小競り合いは全国規模で起きている。
「本格抗争が、いつ始まるかなど誰にもわからない。そしていつ始まってもおかしくない。一見、小康状態に見るけど全国的に警戒が必要だ」(警視庁組織犯罪対策部刑事)
六代目山口組はほぼ全国の暴力団と盃を交わしており、いわゆる盃外交で日本全国の繁華街に事務所を置く事になった。従って、山口組の分裂によって盃を交わしていた、他の暴力団にも当然影響が出る。
「いったいどうなるのか、こちらも知りたいぐらいだ。もちろんやられたら、返すのが我々渡世の人間だ。ただ、分裂を見ている訳にはいかない」(東京都内六代目山口組三次団体組長)
というように情報が錯綜しており、山口組内でも戸惑いが見られる。
2020年には国際的な行事、東京オリンピックが開催される。開催地が東京とはいえ、大阪・兵庫の大都市も観光客がたくさん、訪れるだろう。今回の抗争の落としどころはどこになるのか。山一抗争の時のように一般市民か巻き添えにならない事を祈るのみである。(編集部)
≪タイトル写真≫
加茂田 重政著