30年間守っている一杯350円のラーメンに癒される|ビバ★ヒルメシッ! 文◎久田将義

2017年12月11日 30年間 350円 ラーメン 東京

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豊島区と練馬区の中間の住宅街にポツンとそのラーメン屋はありました。灯りが夜に見る蛍のようです。その光にひかれて店の前に立ちます。いい味です。いかにも昭和です。

外の看板に「ラーメン350円」。昭和ですよね。もちろん一杯約1,000円するラーメンを否定しているのではありません。ニューウェーブ系のラーメンも大好きです。
そういう店にはたまに常連客が、主人に「このスープ、昆布出汁を消してるよね」とかカウンター越しに話しけている風景を見ると「バカじゃないの」と思いますが、そんな人はどこにでもいるので我慢しましょう。言っても良いけど、他に客がいない時や聞こえないようにこっそりいうのが大人ですね。

このラーメン屋。先客がいました。扉を開けると視線がこちらに向かれます。カウンター五人くらい。テーブル一席ほど。十人入れば満席でしょう。

頑固そうな白髪のご主人に「ラーメン」とシンブルにオーダー。「かしこまりました」と丁寧な返答。

店内のBGMはBS競馬番組。好感が持てます。ラーメン屋のBGMに一番適しているのは野球だと思っていますが、競馬もありです。

先客の家族は四人。「味噌ラーメンにしようか」「チャーハンつけようよ」小さな子どもと若い夫婦。会話が聞こえてきます。休日の夜の憩いの時間です。いい家族です。
「食べるブログ」であーだこーだ、書くような人種とは違います。お前どれほどのもの食べてきたんだよ、といつも思います。最近頻繁に進出している、グルメタレントも然りですけどね。

しばらくしてラーメンがカウンターに「お待ちどう」と置かれました。


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見た目は薄い醤油色。シンプルな醤油ラーメンです。これって子供の頃、中華料理屋で食べたラーメンじゃん!
麺は細くてカン水はあまり使っていません。鳥と野菜のスープなのでクセがなく、メンマも薄く味がついています。チャーシューは煮豚で、柔らかいです。これはいくでも食べられてしまう、そんな感じです。飲んだ後でもいいかも。

食べやすいし、先客の家族の憩いを邪魔するのも何なのでお勘定。五百円玉を出して、頑固そうなご主人に「安いですね」。ご主人「30年間同じ値段です」。

ごちそうさまでした。癒されました。


文◎久田将義

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