【新宿地下伝説4】『歌舞伎町ラブホテルの多くは地下水を客室のシャワーや風呂に利用している』 この噂を裏付ける歴史を紐解くーー!

2018年02月01日 

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記録的な大雪と大寒波が襲った2018年1月末の東京。25日午後10時頃には、歌舞伎町のビルで水道管の凍結による破裂とみられる事故が発生した。もちろん、これほどの寒さなら水道管の凍結はありえないことではない。ただ、その一報を聞いた私は、直感的にこう思ってしまった。

「歌舞伎町のビルということは、もしかして自前の水道管だったのではないか......?」

新宿地下伝説については当サイトで何度も書いているが、今回は少し毛色の違った「歌舞伎町の地下」にまつわる都市伝説をお届けしよう。

それはズバリ、以下のような噂だ

――歌舞伎町ラブホテルの多くは、地下水から自前で水道をひき、客室のシャワーや風呂に利用している。その分の水道料金はタダになるので、大幅な経費節約になるーー

この「歌舞伎町の地下水」については、業界関係者ならば暗黙の了解、周知の事実なのだという......。

私はこの話を、「あまり大っぴらにしゃべったらダメなんだけど」との注意つきで、建築関係の人間から聞き及んでいる。
公言NGの理由はなぜだろうか? 例えば衛生的に悪いのに、利益重視のために水道局や保健所には秘密にしているとか......?

「いや、そういうことじゃないです」

そこはキチンとろ過して使用しているし、飲料水ではないため、衛生上も法律上も問題はないそうだ。ただイメージ上、お客さんに大っぴらには公言しないとのこと。まあ確かに、自然あふれる山や温泉地の地下水と違って、「歌舞伎町の地下水」となると(どんなに清潔だったとしても)ちょっとシャワーで浴びたくないかな、となる気持ちも分からなくはない。なので、地下水を使っていると書く代わりに「当ホテルは軟水を使用しています」との表記をしているところもあるとかないとか。

いずれにせよ、これはあくまで建築およびレジャー業界の人からの口コミであって、直接の関係者からウラをとった情報ではない。ただの「都市伝説」として聞いていただければ幸いだ。

ただ、歌舞伎町が地下水をとりやすい地区であることは間違いないだろう。もともとここは、大きな沼のある湿地帯だったからだ。鬱蒼たる茂みに覆われた暗い水場は、鴨の猟場としても利用されていた。今もその名残は、水の神様である弁天が「歌舞伎町弁財天」として祀られていることからも窺える(大正2年に上野・不忍池の弁天堂から分祀)。

002.jpg003.jpg古地図にもこの辺りが湿地帯だったことが記されている


明治期、東京市民の飲み水を確保するため、現在の新都心エリアに「淀橋浄水場」を建設。その際に余った土を利用し、歌舞伎町の沼も埋め立てられた。つまり新都心エリアと歌舞伎町とは、同じ土で固められた場所なのである。浄水場あたり=十二社(じゅうにそう)は水に縁深い土地で、もともと湧水があったところをせき止めて池を造ったり、玉川上水の水を引いたりもした。大きな池や堀から豪快に落ちる滝があったため、江戸時代には景勝地として茶屋が並んだという。
そして明治になると芸者の通う料亭や連れ込み宿のある花街となっていく。戦後以降、その風俗は衰退していったが、入れ替わるようにして歌舞伎町が「東洋一の歓楽街」になっていく。その両方ともが「水」にまつわり、「土」を同じくする場所なのだから、どこか因縁めいた話だ。

ちなみに都庁前や新宿中央公園にも「隠された地下施設があるのでは」といった噂が絶えない。歌舞伎町をモデルにした人気ゲーム『龍が如く』シリーズでも、中央公園を連想させるホームレスばかりの公園に、秘密の地下への出入り口があったりする。おそらく、中央公園の地下にまつわる都市伝説をモデルにしているのだろう。このように新都心と歌舞伎町とは、「土」「水」「地下」という多くのモチーフが共通しているのだ。

歌舞伎町に秘密の地下水がたゆたっているとの発想は、けっして突飛なものではない。とはいえもちろん、ラブホテルがそれを利用しているかどうかは不明である。今回の水道管破裂について「それは地下から水を汲み上げるための自前の管だったのでは」というのも、全くの私の邪推なのであしからず......。


取材・文◎吉田悠軌

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