突如現れた無人の貨物船......
ミャンマー最大の都市ヤンゴン近くの海岸に大型貨物船が打ち上げられているのを8月下旬、地元漁師が発見しました。
船体に見える船名は「Sam Ratulangi PB 1600」。インドネシア国旗が掲げられているこの船を30日に警察と海軍が立ち入り調査をしたところ、乗員の姿も積み荷も全くありませんでした。錆がかなり浮いていているもののまだ運航可能な状態のようです。
海上交通管理のウェブサイトの情報によると、この船は2001年建造で全長177メートル、幅27.91メートル、排水量26,510トン。2009年に台湾を出港したのを最後に記録がなく、9年経って突然ミャンマーの海岸に姿を現したことになります。
降って湧いた幽霊船出現のニュースに、現地では大きく報道されたようです。なにしろミャンマーに幽霊船が漂着した事件は今回が初めてとのことなのでなおさらでしょう。
当初ミャンマー当局は、何らかの理由で最近になって捨てられたものだと見ていました。なぜなら船首に曳航用と思われるケーブルが2本繋げられていたからです。
その後捜査したところ、9月1日にミャンマーの沖合80キロでこの船を曳航していたもう一隻の船「Independence」号を発見。インドネシア人船員13人に事情聴取をしたことで全貌が明らかになりました。
この大型貨物船はインドネシア船籍で、8月13日にインドネシアから「Independence」号に曳航されて出港しました。向かう先はミャンマーの西隣、バングラディシュの船舶解体工場です。
バングラディシュ南東部の中心都市チッタゴンの海岸部には「船の墓場」と呼ばれる大型船舶の解体工場が密集していて毎年数百隻が解体されていることは有名です。そこに曳航して解体業者に引き渡す予定だったものとみられます。
曳航の途中、ミャンマーのヤンゴン川河口付近の海上を航行している際に暴風雨に遭遇。海が荒れたことにより曳航に使用していたケーブルの一部が破断してしまいます。制御不能になったため、大型貨物船を放棄する決断を下したのでした。その後、潮に流されて砂浜に打ち上げられたというわけです。
ミャンマー当局はまだこの船の運航記録が9年間も空白になっていることを疑問視していて捜査を続けるとのことです。「船の墓場」に「謎の9年間」...。いかにも幽霊船らしいニュースでした。(取材・文◎赤熊賢)
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