「食い倒れの街」と言われるほど、大阪にはうまい食べ物が多い。それは、大阪のディープスポット・西成でも同様。どれほどさびれた店構えであっても、テーブルが油でギトギトであっても、割りばしが多少、黄ばんでいても、料理自体はそこそこうまかったりしてしまう。
そんな西成には、かつて「伝説のおでん」といわれる屋台があった。
グチャグチャのおでんセットを乗せ、ボロボロのリヤカーをひき、18時頃になると姿をあらわすヨボヨボのオヤジさん。さらには屋台の名前すらない。そんな屋台にも関わらず、毎日のように大勢の客たちでにぎわっていた「伝説のおでん」といわれた屋台だ。
理由は単純で、信じられないほどおでんがうまかったらしい。しっかりと味の染みたチクワや大根。とろける牛スジ。珍しい半熟煮玉子など、几帳面には見えないオヤジさんがていねいに仕込んだ具材はどれも絶品の味だったという。その味の評判は関西の有名タレントや老舗グルメ雑誌のご意見番などにも伝わり、そんなボロボロの屋台にこっそりと通っていたとか。
「あのおでんの出汁には何かがある......」
そのおでんを口にしたものは、みな同じように「出汁のナゾ」について語り合った。普通のおでん屋さんや添加物をふんだんに入れた「コンビニおでん」とはあきらかに違う、なにか特殊な成分が出汁に入っているはずだと。
そして、数年前。グルメたちの間で話題となっていた「出汁の謎」を解く、手掛かりとなる事件が発生した。なんとも無愛想でヨボヨボだったオヤジさんが、覚せい剤、シャブの売買で逮捕されてしまったのだ。しかも、オヤジさん自身も普段から覚せい剤を常用していたという情報もあった。
「出汁に覚せい剤が入ってたんとちゃうか?」
だれもがそんな噂をささやいていた。そして、とあるベテラン噺家にいたっては、その事件を知ったあと、「ワシかて、『シャブおでん』を食うてみたかったわい!」と悔しがったという。しかし、屋台のオヤジさんがシャブを常用していたからといって、本当に「シャブおでん」なんて代物を作っていたのか? その真相を探るため、何度もその屋台に足を運んだという男性に話を聞いた。
「たしかに不思議とクセになる味でしたわ。コクというか、体中に染みこんでいくというか。隠し味とかそういうもんじゃない気がしましたな」
「クセになる」ということは、「依存性がある」ということか。
「しかしね、あんまり量は食えませんねん。だいたい3~4個食べたら、腹はいっぱいですわ。酒はすすむんで、気分は良いんですが......。たまに、飲みすぎるとエライことになりますねん」
食欲の減退と高揚感。さらには、おう吐を繰り返し、路上で倒れてしまうこともあったという。これはいよいよ噂に信憑性を感じてしまう。関西のグルメたちの舌を唸らせ、路上に倒れこむほどのおでんを作り上げたオヤジさんの屋台は、「食い倒れの街・大阪」にふさわしいお店だったのではないだろうか。
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Written by 村上茜丸
Photo by 作ろう!食べよう!おでんぴあ/ぴあ
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