ひきこもりは殺人者になるのか 人間が事件を起こしてしまう5つの条件|川崎・登戸カリタス小殺傷事件考察
人が最も事件を起こしやすい5要素
ひきこもりだから事件を起こした、なんてことはない。無理心中とも言える大量殺人衝動は、ある状況、条件が揃えば、誰でも実行しうるものかもしれないのだ。
無理心中的な大量殺人を犯す実行犯の環境をつぶさに眺めると、共通したいくつかの条件が揃っていることがわかる。僕は次の5つの条件が揃うと、人は事件やトラブルを起こしかねないと考えている(無論、必ず事件を起こすわけではない。下記の他にも自己肯定感や承認欲求が満たされないなどの要件は考えられうる)。
1 深刻な孤立状態に陥る
2 当面どうしていいかわからない、見通しが立たない
3 将来の展望や希望が全く喪失してしまった
4 経済的物質的に逼迫して生存の見通しが立たなくなった
5 事件を起こすきっかけのようなことが生じた
もちろん、ひきこもりは1の条件を満たしやすい。しかし、他の条件を全て用意に満たすことは極めて少ない。多くのひきこもりは、被害妄想より、加害妄想のような念を抱く人もいて、日頃常に自分が何か迷惑をかけているのではないか、と怯えている人が少なくない。
事件の予防を考えるとき、重要なのは4の条件だ。現在は日本経済が停滞し、様々な貧困が庶民を襲う。生活に安心感をもたらすために、例えばベイシックインカムのような「誰でも」最低限の生存を保証する制度を導入すれば、社会的コストはかかるが、今回のような事件の抑止に案外つながるのではないか。今回の事件を起こすような者は、自分から福祉や医療に助けを求めたりすることは極めて不得意だ。生活保護などの日本の福祉は申請主義が原則で、プライドや自信を喪失している人々は、申請したくてもできないため、福祉の網の目から漏れることが多い。
またひきこもりや障害者のための補助や支援などは、頑なに受けようとしない人も少なくないので、ベイシックインカムのように誰もが恩恵を受ける制度の方が有効だ。